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料理家 入江亮子 プロフィール
佛教大学仏教学科卒。
日本料理の五味五法五色を研究する「温石会」主宰。
四季をいかした懐石を教えるほか、茶事の出張料理も行っている。
また、利酒師・日本酒学講師・酒匠として、日本酒と料理のマリアージュも数多く提案。

〜お知らせ〜
懐石料理以外に日本酒の講座も多数あります。どちらの講座でも日本酒ナビゲーターが取得できます。
目黒学園カルチャースクールhttp://www.megurogakuen.co.jp/では「日本酒テイスティング」「日本酒基礎マスター」の講座を、
相模原カルチャーセンターhttp://www.culture.gr.jp/ekibiru/では「郷土料理と日本酒」講座を、
戸塚カルチャーセンターhttp://www.ms-yurindo.jp/towns/pages/10058.htmlでは「利き酒師に学ぶ日本酒のテイスティング教室」講座を持っております。
お気軽にお越しください。


教室のご案内

温石会


僧が空腹と寒さをしのぐために懐入れた温かい石、そこから懐石という言葉はうまれました。この石のように控えめでありながら、心と体に沁みる季節の素材をいかしたやさしい料理を、皆様とご一緒に作っております。 伝統料理は先人の知恵の塊でもあります。炊く、炙る、霜ふる、煮切る、ふくませ・・・様々な日本料理のテクニックと、料理の段取り、美しい盛付とともに献立力を上げていきます。


・季節をめでる精進料理
日程:毎月第二水曜日@10:00〜12:30、A14:00〜16:30
会場:北鎌倉「たからの庭」
会費:4,500円
申込先:ホームページのメッセージボックスよりお願いいたします。

・体に優しい野菜懐石
日程:第二木曜日 13:30〜16:30
会場:目黒カクチャースクール
会費:13,545円(税込、教材費込み)
申込先:目黒カルチャースクール 電話 03-3442-7533

・温石会懐石教室
日程:毎月第3火水日 11:00〜15:00(日程変更になる場合がありますので、HPで確認ください)
会場:横浜市の講師宅
会費:5,000円(別途入会金)
申込先:ホームページのメッセージボックスよりお願いいたします。


過去開催された教室の様子
※料理の画像及び料理はすべて入江亮子様に著作権があります。


「睦月の献立」  睦月(陰暦で1月のこと)

すっかりアップが遅くなりました。 遅くなればなるほど記憶があいまいになり、書こうとしていたことを忘れてしまうのはわかっているのに・・・いつまでも成長ないですね。

さて、毎年1月はお鍋をやっています。今年は博多の鶏鍋でした。
たまたまレッスン日が小正月とかさなりましたので、小豆粥もやりました。
お酒は新酒が出そろいましたのでぴちぴちなものを堪能〜。
カニ酢はいろいろなレシピがありますが、私は味醂と酢で作るものが好きです。大好物のサトイモの白味噌煮は京都で食べて感動した味です。意外とお酒のつまみにもいいのですよー。お試しください。

小豆粥 博多鶏鍋 博多鶏鍋
かにと芹の和え物 ふきのとうの白和え サトイモの白味噌煮
<献立>
・小豆粥
・博多鶏鍋
・かにと芹の和え物
・ふきのとうの白和え
・サトイモの白味噌煮



「2月の献立」

2月は復習を兼ねて弁当を久しぶりにやりました。
松華堂は見たことがっても、大徳寺縁高はお茶をやられていないと普通は知らないでしょう。
なんとも美しい七寸の角切り春慶塗です。深さがあり、盛り付けが少し難しいです。ずいぶん前に中古ではありますが、清水の舞台から飛び降りるつもりで象彦のものを購入し、大事に使用しています。結局一生ものです。がんばっていいものを買うのが無駄をなくすコツなんです。でもン十万ン百万になってしまいますから、なかなか一代ではそろえられませんね。
私の道具は死んだらもらってほしいところをすでにピックアップしてあります。10客以上時代物もまとまってあるので、お店で役立ててほしいです。

さて、2月の献立は走ってお雛様で華やか系か、冬の名残で渋く干し柿や酒かすで行こうか、なかなか献立が定まらなくて、結局かなり材料を購入してから献立を作っていきました。なので出血大サービスな内容です。 平日組は大変海が時化ていて細魚や柱が手に入らず、その分、たらの子の旨煮などになっています。 お澄ましも、基本の吸地ができれていればこんな豆はんぺんで大丈夫です。この梅のお椀も象彦です。
お酒はおなじみ地元神奈川の相模灘と宮城の乾坤一。乾坤一はすべて小仕込、本当にきれいなお酒です。やさしい米のうまみに癒されます。
皆さんはどちらのお弁当がお好みですか?
<献立>
大徳寺縁高
・小柱飯(25日)、てまり寿司・卵巻き寿司(27日)
・生鮭の幽庵焼き スナップえんどう添え(25日)、 鰆西京焼き スナップえんどう添え(27日)
・蕾菜と酒かすの天ぷら ・菜花の辛子和え(25日)、鱈の子旨煮、菜花添え(27日)
・独活と蓮根の金平 ・活巻き海老の酒炒り(25日)、公魚の南蛮漬け(27日)
・梅麩の甘煮 ・出汁巻き卵(25日)
・季節の蒲鉾 ・漬物2種
向付:細魚と春菜の山吹味噌かけ(25日)、
伊佐木の湯引き、割り醤油
汁:豆はんぺんと三つ葉のお澄まし



「弥生の献立」  弥生(陰暦で3月のこと)

今月はおいしくなってきた鯛を炊き込みにしました。とは言っても余熱で火を通すだけです。数年前にやった蕗ご飯の応用です。宴会の最後に出すと喜ばれますので、ぜひどうぞ。

すり流しはまったくテクがいらないあっという間の出来上がりです。冷たくする場合は塩を多めにしてください。生クリームを入れると変わってくるので、塩は控えめにして調整がきくようになさってください。 田楽は4月の茶事でもよくでてくる焼き物です。水切りをするにしても固い豆腐でお作りください。また練り味噌は最初にたっぷり作っておけば便利です。市販のものは味ができすぎています。器は山中塗 鵬雲斎好写 田楽箱 芽張柳 黒掻合を使いました。
飛龍頭は数年ぶりにやりました。天竜寺椀に入れてみました。あまやかなお出汁は大好きな味です(自画自賛w)。
和え物も甘酒のやさしい味でした。 お酒は新酒の生酒あり、低アルコールの甘酸っぱいお酒ありで沢山楽しみました。 今月もたくさんのお土産をありがとうございました。 やっと春! 来月もお楽しみに。
<献立>
蕗と真鯛の桜川飯
ブロッコリーのすり流し
田楽2種
飛龍頭の炊合せ
浅月と蛸の甘酒味噌和え



「卯月の献立」  卯月(陰暦で4月のこと)

桜も散って、そろそろ新緑の季節。 温かくなってきますと、人間さっぱりとしたものが食べたくなりますよね。 というわけで、今月はお寿司をやりました。

どうぞ行楽のお弁当に、点心に活躍させてください。画像はお尻がくっついてないですが、中央の海苔巻きを少し細めにしてぴたっとあわさるようになさってくださいね。 細まきのほうは花山葵の三杯酢付けと梅紫蘇です。土曜日チームのときは花山葵がなくなったので、茎山葵で作りました。かえってこちらのほうがレアかも。 ちゃんとガリもお手製ですよ。
さっぱりつながりで、青柳と夏みかんの和え物も作りました。青柳は酢に浸してしまうと白っぽくなってしまうので注意してくださいね。若布と独活もよいアクセントになっています。
煮魚はどうしてもやりたかったので、チビキンキで筒抜きをやって、江戸前に水や出汁を使わない酒と砂糖と醤油のみの煮魚を作りました。 平日チームの1日目の方には味醂使用の方法でやりましたので、次回お越しの際に変更部分お知らせいたします。
煮浸しは、汁の換わりに作りましたので、かなり汁ダクで春野菜もたっぷり入っています。
お菓子には季節の蕨餅を作りました。数年前に教えたときは本蕨の粉を使用したのですが、さすがに高くなって使えませんでしたので、次のランクのものを使いました。 蜜も丁寧に作ったものはさらっとしていておいしかったと思います。どうぞあくひきを忘れずにやってください。
お酒はお花見の時期にまず筆頭に挙げられる「出羽桜」の生酒。出羽燦々という一般にはあまり聞きなれないお米で作っています。「美山錦」に「青系酒97号」を交配して育成された山形県オリジナル品種で、山形の日本酒にはよく使用されています。すっきりと上品な風味がでます。 雪の茅舎 純米大吟醸は大吟醸でもしっかり味わいがあるお酒です。好みとしては常温がもっとも好きです。 ピンクのラベルのお酒は特区の本物のどぶろく。ピンドンならぬPINDOBUですw。度数は低いですがあやうく噴出しそうになるくらい元気でかなり呑みこたえありました。赤色清酒酵母使用でピンクになるんですよー。お酒って面白いですよね。もう1種類、そごうで昨日購入したばかりの2年寝かせの酔鯨のうすにごりの純米吟醸生酒があったのですが、撮影しそびれました。 はう、今月もよく飲みましたこと。 お手作りのクッキーなどご馳走様でした。
<献立>
太巻寿司、細巻寿司
春菜の煮浸し
キンキ煮 新ごぼう添え
青柳の夏蜜柑和え
蕨餅



「皐月の献立」  皐月(陰暦で5月のこと)

今月は少し汗ばむ陽気になったときに欲する料理とでも申しましょうか、酢の物を中心に作りました。
向は旬菜と貝の膾。土曜日チームには青柳の代わりに赤貝でした。いこむ練習にもなりました。
蛇腹胡瓜は、私は立て塩でやりましたが、板刷りにかけて塩のついたままきっていくのが一般的です。2/3まで切り込みをといわれますが、半分でも十分うねうねとなってくれます。深さより均一のリズムで同じ間隔で切っていくのが大事かと思います。

汁は卵のすり流しにしました。冷たいうちから火にかけてひたすらかき混ぜていきます。かき卵汁よりちょっとオシャレw。吸い口はすきっとスパイシーに黒胡椒です。疲れているときなんかとってもおいしく感じる汁です。つまりは体に優しいのです。
煮物は夏も近づいてきましたので、酢煮卸しを。平日チームは伊佐木で、土曜チームは鮎並で作りました。これから旬の鯵なんかもおいしいですね。注意しなければならないのは衣に片栗粉を使用しているので、早く煮てしまうと汁を吸ってしまうことです。揚げておいて食べる直前さっと煮てください。
アスパラの落花生和えは、ちょっとこんなお皿に盛るだけで素敵な一品になりますね。
ただ茹でるだけでなく、八方地に浸し、しっかり冷蔵庫で冷やすことが肝心です。でもあまり先んじて前日からではせっかくのグリーンが退色してしまいます。味噌のほうは面倒だったらピーナッツバターで作ってください。実はこれ、先日お食事に行ったおすし屋さんの先付けのまねっこです。↓画像のようにガラスもいいなと思いましたがそれは盛夏にとっておいて、笹皿を使いました。あと少し私のほうはアスパラの出汁がでていておいしいもので浸し地も張りました。
もう1品、胡麻豆腐にジュンサイを入れて作りました。先輩からいただいた完熟トマトも彩りに使わせていただきました。
<献立>
・旬菜と貝の膾
・卵のすり流し
・旬魚の酢煮おろし
・アスパラの落花生和え
・新沼縄の胡麻豆腐
白老は愛知ではかなり知っている方も多いかと思いますが、このお酒も生です。自社の田んぼで減農薬栽培したお米「若水」からできています。造りも木製の暖気樽を使ったりと非常に手間をかけて造られたお酒です。確かに濃醇ですが、キレも程よく、よくオススメするお酒です。
山形正宗は酒未来という「十四代」蔵元高木酒造さんが18年の歳月をかけ開発し、「龍の落とし子」と兄弟系統に当たる酒米です。本当にこれからの日本酒の未来を感じさせてくれるようなお米で、山形の蔵元さんを中心に東洋美人、宝剣などいろんな酒人脈で広がっています。是非、このお米だけで色々飲んでみたいですね。おりからみで舌にうっすらベールをまとうような不思議な飲み口が体験できました。
山田饅頭、ご馳走様でした。



「水無月の献立」  水無月(陰暦で6月のこと)

いよいよ梅雨本番。蒸し暑かったり寒かったりで体調を崩していらっしゃる方が多いかと思います。私も久々声が出なくなるという日が続いてあせりました。体はとっても丈夫なのですが、声帯だけは弱くて、疲れがすべてそこに出ます。出張やらプレゼンが重なっているときに、有無を言わさず茶会の受付などが回ってきて、さすがにしんどいなぁと思っていたら案の定会議中に声が出なくなり、針やらマッサージやらでなんとか急場しのぎ。昔に比べて治るのにも時間がかかるので、チューネン娘の皆様、お互い気をつけましょうね。

さて、今月は一気に夏食材に切り替えました。
また、毎年静岡の友人が送ってくれる新茶をご飯にまぜて新茶飯も楽しみました。渋みがでないよう入れる温度、気をつけてください。
スターターは赤茄子のすりながし。キーンと冷やしてから味見をしてレモンで酸味を調整してくださいね。
向付は水貝風を。黄身味噌の復習をかねました。 煮物椀は穴子の梅山椒煮でした。とろとろと炊いていくとなんとも柔らかにできるでしょう。実山椒の処理は何度も教えていますが、冷凍保存もききますし、ぜひいろいろなものに入れて和のスパイスを楽しんでいただきたいです 揚げ物は米茄子の鶏味噌餡。茄子はつい賀茂茄子にしてしまうのですが、今回はアメリカ育ちで日本で改良の外来種でいきました。ボリュームある1品です。
また今月末の夏越の祓えで召し上がっていただきたいので、たっぷりの甘納豆でういろう菓子「水無月」を作りました。どうぞお茶のお稽古などにお持ちください。やさしい甘さで、売っている菓子を買えなくなります。
お酒は届いたばかりの天の戸さんの夏酒、めちゃめちゃドライ感ある山和、ここのところずっと購入している屋守などをお出ししました。 最初の夏野菜の向付ではキーンと冷やした夏酒で余韻短くクイクイとのど越しを楽しんでいただき、ちょっと落ち着いてきたところで、夏酒が自然に室温になってくるので、そのあたりで米の穏やかなうまみと料理を楽しんでいただけるとうれしいなと思ったりいたします。
<献立>
・新茶飯 ・赤茄子すり流し
・夏野菜の水貝風
・穴子の梅山椒煮椀
・米茄子の鶏味噌餡
・水無月



「文月の献立」  文月(陰暦で7月のこと)

今月は夏らしい寄せものを向付として作りました。朝茶事に使ってもいいですよ。

長いもを寒天とゼラチンで固めますが、じゅんさい用にすこし残しておくことを忘れないようにしてくださいね。天には種をとったたたきオクラと本山葵が乗っています。 ご飯は4年ぶりに新生姜の炊き込みをしました。 またお椀は一見地味な蓮根ですが・・・ 実は中に雲丹が入っていたり、道明寺粉でボリュームをだしている1品です。蒸してから揚げますので、その手間に小さな悲鳴が聞こえましたが、日本料理のなかではかなりこれでも手を抜いているほうです。 わんつまに使った白瓜は粉節と一緒におさけのおつまみにんりました〜。
笹焼きもこの時期いいですよね。添えは焼き甘長とトマトの生姜酢でした。和のピクルスがもっと流行るといいですが・・・。 笹の葉を広げてみると・・・酢橘サンドなお魚がでてきます。 お菓子は意外と食べず嫌いな茶通を作ってみました。切りゴマの風味を楽しんでください。最近は皆さん胡麻を煎るのが上手くなってうれしいです。
<献立>
新生姜ご飯 雲丹鋳込みの蓮根真蒸椀
長ひじき、白瓜 へぎ柚子
新沼縄のとろろ寄せ

カマスの笹焼き 焼き甘長の醤油あらい
トマトの生姜酢添え
茶通
お酒は夏にぴったりのスパークリング、最近人気の写楽、そして私が造りにかかわらせていただいた女きき酒師のオリジナル酒でした。この件に関してはまた別のトピで書かせていただきますね。



「葉月の献立」  葉月(陰暦で8月のこと)

今月は精進料理で茶懐石のフルコースを作ってみました。 精進の出汁は、昆布だけでなく、煎った大豆、干瓢や干し椎茸といった乾物でとります。 慣れてしまうと、鰹節のお出汁が粗野に感じるほど奥深いものです。 出汁で残った大豆や昆布は、少量でしたが、五目豆にして持ち帰っていただきました。このように一切残らず材料を成仏させるというか使い切ることこそ、精進料理の根本義ではないかなと思います。 ただ、やはり懐石というからには、見た目が美しくないと、そしておいしくないとと思います。割醤油ひとつとっても、昆布出汁に醤油だけでなく、うまみの強いたまりなどを加えてひと煮立ちさせたりなどして作りました。

また、もどき料理も精進料理の面白さであります。
向付は鯨豆腐で遊んでみました。胡麻豆腐の復習にもなりますね。

献立を作るにあたっては、普段よく使用する生麩や湯葉は、あえて入れないよう、自分に負荷をかけてたててみました。

梨や桃、お菓子など今月もいろいろとご馳走様でした。

<献立>
飯 汁:赤だし仕立てで南瓜餅 水辛子
向付:鯨豆腐 醤油 割醤油


一文字のご飯がまっすぐじゃないですね。すぐに食べたくて焦っていたようです。
煮物椀:沢煮椀 牛蒡や人参など季節のお野菜がたっぷり入った滋味あふれるお椀です。豚バラを使ったものは4年前にやりましたね。吉野椀に盛ってみました。吸い口の胡椒をお忘れなく 焼き物:おかべの胡桃餡かけ 炊合せ:もぎ茄子の田楽、赤芋茎の旨煮 隠元の旨煮 ふり柚子
和え物:蒟蒻の甚田和え 小吸い物:白木耳 八寸:赤蒟蒻の旨煮/焼き 万願寺 赤蒟蒻は近江の特産品。肉に 見立てて旨煮にしました。 万願寺は素焼きにかけて 醤油洗いです。
湯桶 漬物:沢庵、生柴漬 赤梅酢を使って、フレッシュな柴漬けを作ってみました。冷蔵庫に常備している夏野菜で作れますよ。 蔵から半径5キロ圏内の米しか使用していない夏田冬蔵、購入してからさらに10か月家で熟成させてました。さらにおいしくなっていてうれしかったです。秀鳳は、あまり知られていませんが山形の注目株。今回は特別純米をお出ししましたが、33%磨きの大吟醸を3333円で売ってしまうというなんとも呑ん兵衛にはありがたいお蔵です。



「長月の献立」  長月(陰暦で9月のこと)

暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので、本当にお彼岸あたりからぐっと秋らしくなってきましたね。 今月は秋の気配的な献立にしたつもりですw。よくできたお菓子画像を過って削除(涙。筋がよろよろしてますが、恥を忍んで失敗作載せておきます。練りきり自体は滑らかでうまく作れました。

向付は2点盛りの勉強 汁は滋賀の郷土料理どんがめ汁。
泥の中にいるすっぽんに見立てた料理です。
現地ではすりごまなどを入れてどろどろな汁にするようです。
合鴨満月餡掛け
<献立>
真鯛昆布〆と烏賊の白玉露
どんがめ(泥亀)汁
合鴨満月餡掛け
柿と茸の白和え
照葉(練りきり)
柿と茸の白和え お菓子は練りきり
お酒はお誕生日の方が土曜日チームに2名いらしたので十四代備前雄町をお出ししました(写メとり忘れ)。
平日チームには先日酒造組合で購入した超レアな田むらを。これはインパクトもあり、生酒のフレッシュな良さ全快でした。



「神無月の献立」  神無月(陰暦で10月のこと)

10月は一番好きな名残りの月で、いろいろなににしようかと妄想しているうちに、柿や栗など、一気に食材も秋なった感じです。
唐芋は某杜氏様からのいただきものです。単体でインパクトのある料理にしようと思い、昔習った揚げ物にしました。揚げたてにザラメを乗せてさらにアツアツ油をじゅっとかけるものです。なんともほくっとお芋の味わい全開でしたね。
ほかにも菊や?といった旬の素材を一杯使いました。今月はスモークができなかったのでなんとか生鮭が手に入るうちにやりたいものです。

お酒はなじみのないお米シリーズで行きました。群馬の町田酒造さんの若水秋上がりと、龍力さんの神力。若水は神奈川県の酒造好適米でもあります。どちらもとてもよかったですね。
今月もたくさんのお菓子やお茶の差し入れありがとうございました。

<献立>
菊ジュレ
カマスの酒塩焼き 煎酒 しし唐、舞茸添え
東寺湯葉椀 柿釜の茸黄身味噌焼き
唐芋揚げ
菊ジュレ
?の酒塩焼き 煎酒 しし唐、舞茸添え 東寺湯葉椀 柿釜の茸黄身味噌焼き
唐芋揚げ



「霜月の献立」  霜月(陰暦で11月のこと)

すっかりUPが遅くなってしまいました。
11月は秋いっぱいの献立でした。
占地の海苔酢は、酒の箸休めに最高で、教えてもらって早10年、大好きな1品です。
飯がもち米を入れ、栗の甘露煮や干し椎茸などを炊き込んだ重たい感じでしたので、汁は軽めにいたしました。材料はどこにでもある水菜とお揚げですが、だからこそしっかりと出汁をとって作ってみたいものですね。

<献立>
・秋色黄枯茶飯
・えぼ鯛包み焼 菊花蕪 もって菊の浸し添え
・精進はりはり汁 紅葉おろし添え
・蕪の葉のきんぴら
・占地の海苔酢

・きび餅
きび善哉も、餡をちゃんと煮るといかに美味しくなるか、わかっていただけたかと思います。菓子椀でお出ししました。これも実りの秋を感じさせるお菓子ですね。
お酒は久保田酒造さんに取材に行った時購入した「相模灘 特別純米」、諏訪の人気蔵舞姫さんの「翠露 純米吟醸」、そして愛知の蓬莱泉「和 純米吟醸」でした。とりわけ翠露は澄んだキレがあり、生酒独特の甘い余韻もなく、日本酒度でいえば甘口なんですが、かなり軽快なイメージでした。



「師走の献立」  師走(陰暦で12月のこと)

毎年12月の温石会はお節と師走の〆の献立が混在する、そんな月です。

4年ぶりに本返しを年越しそば用にやりました。蕎麦はいろいろなところで習い、またたくさん名店と呼ばれるところで食べてきましたが、返しのアクはやはりとったほうが好きです。出来立てと寝かせた味をチェックしてもらうため、少しだけ出来立ての返しを蕎麦がきのたれに使い、あとはお土産にしていただきました。1週間は冷蔵庫で寝かせてくださいね。 私は蕎麦がきで飲むのが大好きなので、その喜びを共有したく、蕎麦がきを年越しそばかわりに造りました。秒単位で味が落ちていくのは蕎麦と同じ。とにかく練って練って滑らかになったところで即食べる!これに限りますね。今回は鍋がきにしました。葉の形にするのもありますが、私のはかなり水の量が多いのでそのままで食べます。もちろん冷めて残った場合の素晴らしい二次利用もやりました。これもまたたまらない味なのですよね。最後に載せていますのでお楽しみに。
お節は、口取りのほか焼き魚の添えや八寸の山のものにも使える冬に大活躍の金柑の蜜煮、松風、数の子をやりました。数の子は水で戻すと書いてある料理本が多いですが、1.5%くらいの塩水で戻すのが失敗しないコツかと思います。3回くらい塩水を変えて大事におつくりください。薄皮も丁寧に取ってくださいね。お節ではこれでも最も手間のかからない1品です。そうそう、どうせ食べるなら今回使ったくらいの大きなものをおすすめします。味もよいです。 器は鎌倉の作家さんに作っていただきました、鶴の向皿です。昔のものは顔がかなり怖いのですが、このお皿は作家さんの優しいご性格そのものの穏やかな顔をしています。
<献立>
・おせち (肝入り松風、金柑蜜煮、数の子の含め)
・筑前煮
・牡蠣のさっと煮浸し
・そばがき 本わさび添え 
・菱花びら餅
初釜でよく出される菱花びら餅も作りました。出来立ての柔らかさを知ったら買って食べられないですよね。ですが、なんと盛り付ける向きを間違えてしまいました。数年前の戎膳が頭をよぎりましたよ。画像は天地を返してなんとか使ってますが、半月のアールのあるほうを正面にもってきてください。本当にごめんなさい。
新酒もそろそろ出そろってきました。本当に年々お酒は驚くほど素晴らしいものが生まれてきています。ほとんどの新酒が生酒として出荷されるので、買った店、保存状況などにより1本1本違うのが楽しいですね。花垣のにごり酒は醪の残り具合やクリーミーさなどいつもおいしいなぁと思わせてくれる1本ですが、今回開けたお酒もぷちぷちと残った微炭酸が心地よく、まろやかでとても良かったですね。花垣は仕込み水もとっても美味しいんですよ。販売もされています。 勝山は、あまりお酒が得意でない方にも自信をもっておすすめできます。まず一言でいうと飲みやすいわけです。この飲みやすさは素材の吟味と造りのうまさにあるのでしょうね。蔵にお邪魔したことがありますが、蔵人の英知を最新鋭の機器がフォローしている、すごい蔵でした。ラベルに濃純旨口とありますが、お酒全般からするとむしろ軽快な部類に入るかと思います。こちらの蔵元で一番高価な市販酒は「ダイヤモンド暁」です。720mlで3万円ですが、本当に至福の酒。ワインを考えれば日本酒ももっと高級酒がでてきてもいいかもしれません。
これが、蕎麦がきの再利用というか、これ食べたさに蕎麦がきを作るほど好きな揚げ蕎麦がき。辛子醤油で食べるのが好きですが、この日は雪塩で。外がカリッ、中がふわふわ。お蕎麦屋さんでもめったにお目にかかれません。