雪花水の四季  春


 【マンサク】
 Hamamelis japonica
 マンサク科マンサク属

高原に雪が消え、鳥がさえずり、兎が跳ねる。
赤谷湖畔の桜が雪解けで満水の湖面に映える。
川面と三国街道に新緑がさえる。
黄緑の世界が春爛漫を物語る。
マンサクの花が咲き始めた。
この数日の暖かさに誘われて一度に咲き出した。
横を通るだけでそれと分かる甘く強い芳香を出している。
花は目立たないが、近づいてみるとなかなか可愛い花である。
春一番に咲く花の一つで、2-3月、葉に先立って黄色の花を付ける。
秋には1cm程の果実から、黒い種子が弾けて飛び出す。
沢山の黄色の花が「豊年満作」を連想させるところから、マンサクの名がついたともいわれる。



 【ウツギ】
 Deutzia crenata
 ユキノシタ科ウツギ属

「卯の花の匂う垣根に..」の歌の一節を知らぬ人はない。 卯の花は古くから家の境界を示す垣根によく使われてきた。
花の種類の少なかった昔は、可愛く白い花を付ける卯の花が好まれたのであろう。
旧暦の4月を「卯月」というのも、この花に由来するのだろう。
卯の花は「うつぎ」である。
同じ「夏は来ぬ」の歌詞の中に、「うつぎ花咲き...」という一節もある。



     【しだれ桜】             【ミツマタ】
Edgeworthia chrysantha
ジンチョウゲ科ミツマタ属

コウゾとミツマタは、 和紙(お札)の原料として有名である。
樹皮の繊維を原料にする。
木は1-2mの灌木で、 3-4月葉に先立って黄色の集合花を付ける。
枝が次々と3本に分かれて伸びている様は、 とても綺麗で面白い。



 【ハクモクレン】
Magnolia denudata
モクレン科モクレン属

白木蓮と紫木蓮が咲き始めた。
早春の大型の花としてよく目立つ。
2月のネズミ色のビロードのような蕾も可愛い。
シモクレンと呼んでいるものが、 植物図鑑では「モクレン」の項に載っている。
よくモクレンと呼ばれているのはタイザンボクである。
ハクモクレン、シモクレン共に中国の原産である。

 



 【ヤマブキ】Kerria japonica
       バラ科ヤマブキ属

ちらほらと咲いていたヤマブキが、満開である。
「七重八重花は咲けどもヤマブキの、 実の(蓑)一つだに無きぞかなしき」 という太田道灌への返歌で有名なので、 八重咲きが普通と思っていたが、 ヤマブキと呼ばれているものは五弁の花である。
八重のものはヤエヤマブキと呼ばれる。
学名にjaponicaの名が付いている。

 



【ヤマザクラ】Prunus jamasakura 
        バラ科サクラ属

日本の野生桜の代表である。
吉野・京都の桜は昔、 ほとんどこの品種であったと思われる。
最近ではソメイヨシノが幅を利かせているが、 古来から詩歌に詠まれた桜はヤマザクラである。
若葉は花と同時に出るが、 オオシマザクラのような緑の若葉色でなく、 やや茶色がかっているのが特徴である。







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