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刀剣乱舞 山姥切長義

クリスマスらくがき。
長義にプレゼントを渡すよ!

最近ずっと長義が目線の絵ばっかだけどさー主目線なんだよねー(笑)。
身長も近いから目線もそう違わない、みたいな。



なんとなくここから続く。

――――――――――――――――――――――


 ―――――万屋街のとある通り。
 そういえばこの辺りに美味しい焼き菓子の店があるとか、お茶の店があるとか―――菓子好きの子たちが話していた気がする。
 だが、今はそれどころではなく。先程からとある一つの事を考えている。悩んで、想像して。
 本当は寒い筈なのに寒さなど感じなくて。

「あ!そうそう、ここだー」
 前に連れてきてもらった。そういえば一人で来るのは初めてかもしれない。
「(んーここまで来る時間じゃ結局決まらなかったなぁ。…何色が良いかなぁ…環は銀色がいいでしょー…?ちょっと相談して決めようかな)」
 彫刻が施され、重厚な見た目に反して軽やかに開いたその扉を押し開ける。


「あ、いらっしゃい! 圧が強い長義さんちのあるじさんだー」
「久しぶりー、乱ちゃん。店主さんいるー?」
 ふふふ、と乱は笑うと手を引っ張って部屋の奥へ。もう既に来ることを予想していたかのように。
 案の定、案内された小部屋にはいつかと同じように―――――。



「やぁ、主」

「えー? なんで!?」
 そう、いつかと同じように白いテーブルには白い花柄のお皿にレースのように作られたナプキンに焼き菓子が並べられている。
 そこにソーサー片手に紅茶のカップを傾けて、いかにも優雅な午後のお茶会、を演出していたのは「私の」山姥切長義だった。
「そろそろだと思ってね。待たせてもらったんだが……。そんなに驚く事だったかな」
「驚く、ってか。…なんだ、だったら一緒に出てくればよかった」
「ああ、君の方が先に本丸から出たな。ふぅん?迷っていたのか?」
「べ  …別にぃ?うちの乱ちゃんにお茶頼まれたからそれ見てたりしたんだもん」
「はは…。なら、そう言う事にしておこうか」
 長義の隣の椅子に掛けると、いつの間に来ていたのだろう、この店の店主もテーブルの合い向かいに掛けていた。話はもうついていたのだろう。ずらり、と石が並んでいて。
 そう、ここは以前も訪れた事のある宝飾店だった。

「山姥切長義様と…その主様。 ふふ、奥様、と申し上げたほうが良いですか」
「ひぇ」
「…ひぇ、とは失礼だな。――ああ。「ソレ」で、構わないよ」
 もう知った顔だ。店主も笑いを堪えている。

「では、「奥様」」
「いや、なんでそこだけ声が大きくなるの?」
「ふふ、面白いから」
「あ、本性出たでしょ、今」



「ん――〜、こっちの方が似合うかなぁ…?」

 小さな石を二つ、三つ、摘まみ上げて、長義の隣にかざすように。
「…長義が青系以外付けてるのすごく新鮮だけど」
「君の色、なら別に何色でも構わないよ、俺は。……ああ…だが」
 石がたくさん並べてあるカルトンに目をやり。
「あ、なんか好みある?」
 長義はすい、と審神者の左手を取り、今は自分の瞳の様な青い石が嵌まっているその指に石を置いて。
「…やはりこの色合いの場合は淡い色の方が似合うね。俺もこちらの方が好ましいと思う」
 選ばれたのは淡い桃色の石。
 角度によって濃さを変えるが、光に透かすと花弁のように、淡く。




* * * * * * *




 ―――――長義がそう希望したから、と箱に入れずそのまま指輪を二連つけたまま本丸に戻ってきた。

 帰還する頃には冬の陽の光はすっかり落ち、転送の間の扉を閉めた頃には廊下は冷たく、薄暗かった。寒いねなどと言いながら部屋を目指す。
 他の刀剣男士が居るであろうエリアは声も聞こえるし、暖かそうな光も漏れている。明日、皆を本丸から出さないようにしているので今日は慌ただしく動いていたのだろう。
「俺たちが最後だったようだが、確かに転送を使った奴らも多かったようだね」
「明日の準備とかだよねー」


 障子を滑らせ、火鉢に火を入れ。軽い服装に着替え。
 二つ並んだ座布団に腰を下ろした。
「…さて」
「えーと、………どうする?」
「ずっと君が付けていては意味がないだろう?」
「だよね。…っと、じゃあ」
 少し声の調子を整えるように、咳払いをしてみたりして。
「―――長義。これ、約束してたやつ、だけど。…私の心臓に続く指を貴方にあげる。私のたった一振りの、たった一人の…旦那様……。ええと、クリスマスとか男士ってどうなのかなーって思ったけど。私の大事な家族だから」
 左手を差し出し、長義の手に絡め。
「ああ、よくできました。かな。貴女の心臓を頂いたからには貴女を我が身の如く扱おう。…俺は一番自分が大事だからね」
 指から、すい、と銀色の環を抜き取り。銀色の鎖に通す。意図せず長義の薬指の先に軽く引っかかったその指輪はこれから彼の服の下でその胸に寄り添う事になる。

「…ふふ」
「なんだ?」
「ん、だってさ、これで二人で指輪持ってるね、って。 あ!私のお守りだもん、弾丸とか飛び道具受け止めてくれたりするかも」
「へぇ? ならば、期待しようか」
 首元にかかっている長めの鎖。今までこのようなものを下げた事などなかったから、少し違和感を感じる。最初はひやりと冷たく。それから段々と自分の体温になじんできた。


「…そういえば、何故一人で出かけたんだ?」
「だって、長義へのプレゼント、だから。 …でも居てくれて良かった。長義の好みも聞けたし、やっぱり似合うものを付けててほしいし」
「ああ、なるほど?人の子とはそういうモノか。確かに内緒にしていて驚かせる、なんてあるからねぇ。まあ俺はどちらでも良いけれど。 ただ…」
「ただ?」

「……いや。あまり一人でふらふらと出かけるものじゃないよ。万屋街には君と神気が合わない刀剣男士も多い」
「あー、そっか」
「理解してくれれば良い。だから今はそれは無しにしよう。君が俺を想い、その為に行動したのは悪い気はしないからね」

 ――――俺の事だけを考えて、か。

 ふと、昼間の出来事を思い出す。
 店に来るまでに色々な想いを、考えを張り巡らせていたのは想像するまでもない。「お茶を見ていた」と口にしたのもとっさに胡麻化した、のだろう。
「(全く滑稽だね。…このような事に嬉しさを覚えるとは)」
 少し目を伏せ、ふ、と笑った時。
 身体が少しばかり後ろに押され。次に重み、柔らかさと温かさを感じる。
 目の前には見慣れた髪と、背に回された手と。
「長義」
 名を呼ばれると首の辺りに振動を感じる。顔を付けているのだろう。耳元に温かい空気が触れた。
「……来年は一緒に出掛けよ。当日はみんなと過ごしたいから、一日前に」
「…分かった」

 少し力が増した手。
 内番着の広く開いた青色のシャツから僅かに見える銀色の鎖。それに唇を付けて。
「(私の山姥切長義を守ってくれますように…)」
「………」



「―――ああ。ならば」
 切り替えるように、少し声を上げ。
「きちんと捕まえておかなければ。…今日のようにふらりと出かけられては…たまったもんじゃないからねぇ」
 それから緩やかに腕を回し、頭、髪先、背と、身体の線を確かめて辿るように、ゆっくりと撫でていく。
「ん…ッ…?ちょ ぅ  ぎ…?」
「おや、どうかしたかな」
「べ、つに…?」
 意識させるように触れるその手つき、身体の熱が上がるのがわかる。
「なんでも、ないしぃ?」

「へぇ……?まぁ、君から俺に抱き着いてきたんだ。期待していると取るのが自然だが」
 少し首を回して、暗い色の髪から耳を見つけて、名を囁く。
「…ん。 …やっぱ、名前呼ばれるの好き…」
 耳元だから、もあるのだろうが。少し籠った低く甘い声。それに名が乗れば自然と体温は上がり。
「だろうね、だから口にしている。…このような時でないと呼べないからねぇ」
「…い、じわるだよね。…言い方…」
「……何故?嬉しいのだろう?」
 そう喉で笑えば、首筋に埋められた顔がますます熱を帯びる。

「う…。んー………」
 少し肩が縮こまる。
「なんだ?妙な声を出して」
 それから
「…っ」
 整えられた銀の色の髪。それを指で掬って。
 きちんと形作られた耳たぶに唇で触れ。その刀剣男士の名を呼ぶ。
「……! …………」
「(あ、固まった? え?あの長義……が?)」

「へぇ…?」
 しかしそれも束の間。
 長義は面白そうに笑うと「悪くないな」と呟き。
「…まだ俺に触れたいならどうぞ?ああ、それともいつかのように今度は貴女が俺に名を囁いて蕩けさせてくれるのかな?」
 などと言うから。
「…そ…それからは考えてない……です」
「おや、とっさに取った行動がこれか?そんなに熱っぽく俺の名を囁くんだ。続きがあるのかと思ったが。 ……ならば仕方ない。俺が続きをしてもいいのかな…?」
「ひぇ。 い、今? 今はちょっと…」
「今は、ねえ?」
「う…。 だって……」


「さぁ…。結構なものを頂いたからねぇ。相応の礼……いや、ご期待には応えなくては…」




こちらの続きでした。


「いつかのように」〜はこちら

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