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刀剣乱舞 山姥切長義

かなり前に描いて忘れていた線画を少し変更しながら今更塗る。

がっつり刀さに。

そして考えながら書く小説↓


――――――――――――――――――――――

「おつかれさまー。長義」
「…ああ。――――毎度の事だけども勝手に俺の部屋で寛いでいるのはどうにかならないのかな」
 障子を開け、部屋に足を踏み入れる。
 先程まで冷たかった廊下から畳への温度差、―――それに自分の神気が満ちている自室は少し気が緩む。
「全く…、主には男士の結界が意味がないとはいえ、勝手に入る奴がいるか」
 長義は呆れたように息をつく、が。自身の神気と審神者の霊力が入り混じったこの部屋の空気は良しとしている。
 普段、時間遡行軍などという異形の者らを相手にしているのだ、禍々しい気を取り払う為にも刀剣男士たちは自室に神気を満たしている(いや、勝手にそうなるわけだが)。
「でも私の布団ここにあるんだもん」
「…ああ、なるほど? ではもう休むのか?」
 くい、と片眉を上げて。
「もう、すぐそういうこと言うー」
「(まぁ…ここが俺と君の部屋、のようにはなっているけどねぇ)」


 紺色の座布団に腰を下ろし、襟元の釦を外し緩めながら火鉢の上の鉄瓶を確認した。
「あ、お湯沸いてるよ」
「新しい茶葉を貰って来たが、君も飲むか?」
「うん、淹れてー長義のお茶飲みたい」
「はいはい」
 慣れた手つきで二つ用意され、それに口を付けた。温かい茶が身体を通って行く。息を吐けばほわ、と白く。
「んー、おいしー」
「…ああ、なかなか良い茶だな」


「――――なんか最近バタバタしてるよね」
「…まぁ仕方ない。年明けには少し休めるだろうが、まだ先だ。…他の奴らにも夜のこの時間くらいは身体を休める事を最優先とするように今一度伝えたほうが良いだろうね」
 こと、と小さな音をさせて空になった湯呑を置き。
「だね。明日の朝ごはんの時にでも言ってみるよ」
「ああ、そうしてくれ」

「長義」
 座ったまま少し身体を引きずって、近くに寄る。肩に額を乗せて目を閉じて。
「んー……ふふ」
「………」

 審神者のこの行動。何かしてほしい、やら、何か話したい、訳ではないのは知っている。だから長義は特に何も言わず寄り添いやすいように身体を少しばかりそちらに向けてやる。
 暗い色の髪が頬を撫で、今は広く開いたシャツの胸元にゆらりと落ちた。
 息を吸う時、微かに深めなのは――――

「全く、…そんなに俺を取り込んでどうしたいのやら」
「はー…取り込むとかそういう考えなかったなぁ…」
「…へえ?では、何なのかな」
「長義の香りが好きなだけだけど」
 付けた香りではなく、その刀剣男士・山姥切長義が纏う香りが。
「ふぅん…?」
「ぅ……」
 口にして恥ずかしくなったのか、なんなのか。
 服をきゅ、と掴んで顔が見えないようにさらに肩に顔を埋めてくる。
「っ…。 ……い、や…なら言ってね」
「……別に、お好きにどうぞ。香りを取り込まれたくらいで減るものでもなし。――――まぁ、君から俺で満たしたいと行動してくれるのなら手っ取り早くていい」
「…なんか長義ってたまにさらっと怖いこと言うよね」
「へぇ?今のどこに怖い部分があったのかな?」
「手っ取り早いとかその辺。何か付喪神に言われると、って感じ」
「あぁ…」
 声を上げ、審神者の頬に流れ落ちる髪を指で掬い。その行動で顔を上げた審神者と目が合わせて。
 わざと顎を上げ、見下ろすように。
「だがそれで怖がる君でもないだろう?」
「長義が悪い事しないの知ってるし、……まぁもし、されたとしても、それは回りまわって私の為なんだと思うし」
「素直だな。 …まぁ、ね。任せておけ。…俺は自分のモノは自分で守るよ」
 顔を服に押し付けていたからか、少し乱れた髪に、段々と緩んできた髪留めに触れ。
「…長義に頭とか髪撫でてもらうの好き―」
「うん?後で梳いてやろう。…すぐに乱れるからな、梳き甲斐があるよ、君の髪は」

「守る、とか、髪、って言えばさ?」
「?」
「髪の毛ってお守りになるらしいじゃない?」
「ああ、霊力が集まりやすいと言う事かな。…確かに古来より戦場に行く男に女が渡したり、呪術に使用したりするね」
「なんでかな。あーでも確かに髪の毛だけ置いてあるとかなんか不気味っていうか…怖いじゃない?んー、深層心理みたいなのでそういうのあるのかなぁ」
「…どうかな。まぁ痛み無く簡単に切り離せながらその者から生み出されたモノ、四六時中共に在ったモノなどなかなかないからねぇ。自然とそのような話になるのだろう。まぁ詳しくは知らないけども」
 指にくるりと巻き付けながらそう言い。

「………。――――はぁっ。却下だよ」
 額に手を当て、息をついて。
「うわ、私なにも言ってない」
「「うちにいる子たち全員に私の髪をお守り袋に入れて渡そうかな」などと……君が考えそうな事だ」
「え、すごい」
「…すごい事などあるものか。俺でなくとも気が付きそうだよ。……この本丸に居る全員に「守り」として渡したら大変なことになるぞ」
「あー…霊力取られて疲れちゃうとか、それ系?」
「まぁそれもあるかもしれないが…そういう話ではない」
「へー…そうなの?」
「全く。…自分を簡単に切り離して渡すものじゃないよ。彼らにその意思がなくても取り込まれる可能性も十分にある。付喪神に渡すという事はそう言う事だよ。……それに」
「それに?」

 長義は少し身体を動かして審神者の背後に廻り。
 先程まで審神者の体温で温かった肩の代わりに今度は胸が熱を帯びる。

「ん ちょう、ぎ?」
 後ろから腕を回され。
 二人分の体温で背が―――熱い。それは触れていない部分との温度差が激しくて。
 首に当たる長義の息と、熱の所為か、先程より感じる香りと。

「それに…俺が、…俺のモノである貴女の髪を他の者に渡す事を良しとするわけがないだろう? ……例え君が疲れを感じずとも、取り込まれる可能性が皆無だとしてもね。やれやれ、全く厄介な感情だよ」
「っ……ん」
「俺以外の男の所にある貴女など…。許さない、かな…」
 恐らく、ぴたりと唇が付いているの、だろう。
 長義が口を開く度に髪が揺れるのがわかる。その微かな振動は髪から頭に伝わって。
「わ、分かったってば…」
「おや、今更。何を恥ずかしがっているのやら」
 思わず肩をすくめて縮こまったのがわかったのだろう。頭の位置がいつもより大分低い。長義は声の調子をわざと上げ、回している腕を強めた。
「…わざわざこうしてやらないとわからないのでは、この先困るね」
「ん もう…」
 長義に少し、体重がかかったのがわかる。
「しかしまぁ……それでも良いか…」

「……ん」
 長義にこうされるのも、自分の考えを話してくれるのも好きだ。
 物言いに少し強引な所があるところも。
「長義」
「うん?」
「じゃあ、さ…私の髪の毛一本欲しい?」
「そうだな…。 まぁ、いつも触れていて今更、と言う気もしなくもないけどね」
 髪に埋め、唇に触れながら。
「ま、…君のこの髪、守りにしようと他の奴らの手に渡ったら恐らく消失するだろうね。…俺の神気が籠った櫛で梳いているんだ。同位体ならまだしも、他の奴らの手に在ってその儘でいる筈がない」
「長義、ってさぁ。……結構私の事、好きだよね」
「は?何を今更。でなければ俺の妻にするなどと誓う訳がないだろう。俺は元々何かに執着する方ではなかったし、人の子の真似事のように家族を作っても枷が付くだけだ。俺にとっては良い事など無いと思っていたよ」
「……」
「…ああ、それを破ってくれたんだ。覚悟してもらうよ――――と。もう何度も伝えた筈だが?見くびられては困るね」
 ああ、と、わざとらしく声を上げ、笑う。

 ぷつ、と1本、唇で髪を取り。
「君の心臓に続く指の…君の色の石―――。その指輪に取り込んで持っておく事にしようか…?」




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おまけ。
部屋でこたつに入りながら長義に膝枕してもらう主(ほぼ見えてないけど長義の手に主の頭が…ある、んだけども)。
ぬーストいいよね。

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