とある仮説 ―13―


「よし」

 にやり。ラッセルはその様子を見て笑った。
 地面には錬成陣。
「昨日徹夜で考えた新しい構築式だ。…見てな、アルフォンス。サエナ」
「はあ」
「何作るの?」
「そっちの科学技術と錬金術の融合。…ハウス栽培をやってみせる!」
「(まだ言ってたんだ…)」

 ぱし―――…。

「………で、なんなんです?コレ」
「ハウス」
「うわー固そうな家」
 錬成光の後に現れたのは…鋼鉄製のハウス。

「コレで熱が逃げない……って!!!太陽光まで遮ってどうするよ俺!?」
「(だと思った…。あの材料だもんね…)」
 錬成陣の上にあった材料は、ウィンリィが使っていた鋼鉄屑などだった。ハウスができるくらいだったのでかなりの量だったが。
「フツーに作ったほうがいいんじゃない?」
「いや、ダメだね。これからは旬ではない野菜も手軽に食べられなきゃならない時代だ。真冬にトウモロコシとか、真夏にふきのとうとか!」
「ふきのとうって…栽培するようなものだったかな…」
「真夏にポルチーニ茸が出るのはいいかもー」
「何それ?」
「キノコ。それでソース……シア姉に作ってもらおー」
「あはは、自分で作るんじゃないんだ」
「高いから失敗したらやだもん。よーしラッセル!!頑張って」
「言われなくてもっ!こんな失敗、錬金術師として許せないからねっ」

「ねえ、ラッセル」
「ん?」
「エンジン作れるなら、ハウス内を一定温度にする空調設備も作ったら?太陽光だけを使うんじゃなくて」
「…なるほどな」
「それなら、ぼく、手伝えますよ?」
 このアルフォンスの提案が後のアメストリス農業に多大な影響力を与えた……かは定かではない。




「…ウィンリィ」
 その頃、家の中。エドワードはコートを着ている途中だった。
「あれ、エド出かけるの?」
「ああ、あいつらに言っておいてくれ。ちょっと、ダブリスに出かけてくるって」
「ダブリス?何、アルから連絡来たの?」
「まあちょっとな。あいつら連れて行ってやりたいけど――――…直ぐ帰ってくる予定だから、急がせちまうし」
「わかった」



 エドワードは歩き出す。
 駅までの道のり。
 いろいろ考えながら。
 歩きながらが一番考えられたりする。それは旅の時、一番感じたことで……。


「!」


 はた、
 足を止めて。


「サエナ…?…母さん。………ロンドンのオレ…こっちのオレ………アルフォンスと、アル……!――――まさかっ!?」


 カバンをその場に放り出して来た道を戻る。




「何で、何で気がつかなかったんだ…!!」
 アメストリスに来て直ぐに感じた違和感。それだった。今更、その違和感の正体に気がつく自分に苛立つ。





 劇場版 鋼の錬金術師 第14話 次回予告!

 ――――アルがいない理由。





まだハウス栽培にこだわってたのか、ラッセル。
ハウス栽培のことはよく分かりませんが、モーターがついていたのは見たことがある。

今回何か短いな。でも次の入れると長くなるからいいか。
オチが見えた人は見えたんじゃないでしょうかー?所詮私の小説なので笑って見過ごしてください(笑)。

ちなみに『これ』がエドが感じた違和感です。


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