鋼の錬金術師 ―18―


「完成です」

 ――――翌朝。
 少し眠い目をこすりながら一階に降りてきたアルフォンス。

「…そっか。やっぱり酔わせたのは正解か、基礎どころか全部出来たとはな」
「はは…」
「おつかれさん、アルフォンス」
「…いえ」

「とりあえず外観はまともだな」
「エドワードさん…?」
「いや、オレはまた『トマト形』とか『ロケット型』とか作り始めたらどうしようかと思って…」
 なんとなく場を盛り上げようとして、そんなことを言うエドワード。
「そんなこと」
 苦笑しながら銀時計を渡す。
「どうだかな、タイムマシンなんて作るんだから分かんないぜ、実際」
 つられて笑いながら…受け取る。


 トリシャの墓前。
 ここから始まったのだから…と、術はここでやることになった。
「母さん、行って来るな。オレ…」


「さて」
 両手を合わせるような仕草を取る。
「これで、アルは…戻って来られる」
 でも、まだ両手は合わない。

「ウィンリィ、起こしてこなくてよかった?」
「…いい」
 朝と言っても、とても早い時間。
 まだ日が昇り始めたところだ。
「手伝ってやろうか、エド」
「ああ。頼む、ラッセル。…その為に叩き起こしたんだからな」
「やれやれ、最後の最後まで俺を頼るなんてねー」


「…アルフォンス」
 作業しながら、口を開くラッセル。
「はい?」
「頑張れ」
 それだけ言えば十分だろ、と言わんばかりに…本当にそれしか言わなかった。
「……――――ええ」
 一瞬驚いたような顔をして、それから笑って答える。

「サエナ」
「ん?」
「…約束、ちゃんと覚えておきなよ?って、向こう行ったら忘れるかもしれないけど」
「大丈夫。…ありがとう、ラッセル。弟くんにもよろしくね…」
「ああ」



 風が吹き抜ける。草が揺れて。
「――――エド、行け。お前の得意分野だ、今だ、両手を打ち鳴らせっ!!」




――――パンッ…。






「行った…か」

 雑魚寝をしていた寝室。シェスカがいなくなり、少し広くなったね…と言っていた。
 昨晩、サエナはアルフォンスの時計についてて帰ってこなかった。だから久々に自分の部屋で寝たわけだが。

「……帰ってきなよ、今度は二人で…」
 両膝を抱え、そこに顔を埋める。

 肩が震えていた。
 それから、何故か急激に眠くなって……――――。





 劇場版 鋼の錬金術師 第19話 次回予告!

 ――――ミュンヘン1922。





すごいな、いろんな意味で。
ちょっと展開早いかなぁ(汗)。


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