あなたのところへ殴り込み ―9―
「――――けほ」 「アルフォンス、もう寝ろ。…もう1時か」 「あ…。………そうですね」 困ったように時計を見てから。 「…ええ」 「………じゃ、続きは明日か」 「ごめん。ラッセル」 「いやいや、まだまだ時間はあるからね」 どたどたどた――――ばたんっ! 「「「!?」」」 「アルっ!」 「エドー!!」 「……あーあ、来ちゃいましたよぉ」 「エドー…腕の長さ測らせなさい〜」 「お、お前…目がすわっ……怖」 「アンタがどのくらい成長してるかくらいは分かるけどねえ〜。…オリジナルがいるなら別よ。ちゃーんと作りたいのが製作者ってモンなのよねぇ〜」 「そんなん明日だっていいだろ!?」 「バカねえ、思い立ったが吉日って言うでしょ!!!!」 「な、何…?どうしたの、サエナ」 どさくさに紛れて何時の間か一階まで連れてこられたアルフォンス。 薄暗い廊下。 サエナは誰もいないことを確認すると小さいビンを取り出した。アルフォンスがいつも使っている薬だ。 「あ!…それ」 「よかった、気がついて。…薬のビン」 「苦しく、なかった?」 飲み終わった後、そう聞く。 「――――ああ、平気だよ。…そっかジャケットに入ってたんだ。…ありがと」 「入ってて…よかった…よね」 薬に頼らなければならないのはよくないこと、だ。 だけど。 「……サエナ」 「早く、帰れるといいね。…ここ、いいところだけどやっぱり、さ。……私の世界は向こうだから。帰り遅くなったらシア姉もアルの研究仲間の人も心配するでしょ」 「…うん」 「うわ。なんなのよこの機械鎧!この材料でよくここまで出来るわねー。いろんな意味で感心するわ」 「何でもいいから腕返せ!足持ってくな!!紐引っ張るな!」 「うるさいわねー。ちょっと黙ってなさいよ豆」 「豆って言うな!!!!」 結局、結局…。 この騒ぎで寝ることなんて出来なくて。 うぃぃぃーん。 「ぎゃー!!腕が熱くなってますー!!!」 「だから紐引っ張るなって言ってるだろ!ああ!ほら壊れ……!…たじゃねえかどうしてくれんだよこれぇ!!」 「エド、お前ヘンなものつけてるんだな、足もモーターなのか?」 「んなわけねえだろ!片方だけパワーアップしても意味ないだろ!」 「なるほど、これで一時的に力あげてんのねー。…なるほど、材料の耐久性がないのをカバーする為にフルタイムでは力を出さないのね、いざと言う時に―――――」 ごちゃごちゃごちゃ――――。 「あーあ…」 そんなこんなで気がついたら朝日が昇っていて…。 「…ええ、だからですね、この部分とここの力の関係は、図面のこの部分と――――」 「なるほどねぇ。そういう考え方もあるんだ…じゃあ、これは?」 「あー…――――そうですね、ここは…」 次に気がついたら昼間。 「う…オレの布団引っ張ったの誰だよ…あ!てめ、ラッセル!一人で毛布かけてんじゃねーよ」 「床に寝るのって痛い…」 「うー…何時?」 この部屋でみんなで雑魚寝状態だった一同。 劇場版 鋼の錬金術師 第10話 次回予告! ――――次回は確かに朝。しかし数日後の朝。 話が進まない短編集〜。『天国の門』 『99パーセント…』 他(多分)をお送りします。 |
ジャケット大活躍(?)。 TOP NEXT |