ラッセル ―6―


 ぎゃあぎゃあ騒ぐ声がここまで聞こえる。
 話題はよく分からないが、とにかく楽しんでいるようではある…。


「いやー、あっちはあっちで盛り上がってるねぇ」

「はあ…。何話してるんでしょうかね」
 君のことだ、アルフォンス。……とツッコむ人もここにはいない。



「…――――で」
「は?」

「『錬金術師として』興味あるんだよねー。……門の向こう」
「門?」
「ああ、まさか同じような世界があるとはね。しかも同じ顔…もしかしたら同じ魂って言うのかな?それを持ったヤツがいる…。びっくりだね」
 肩をすくめて。おどけたように言う。

「………。よくわかりませんね。…さっきも言いました。ぼくの世界じゃ錬金術は存在しない。それはエドワードさんも言っていたでしょう?……確かに、賢者の石やホムンクルスだのなんだのの話は存在します。――――だけど、完成したとか、しなかったとか。やっぱり別物だったとか。…そんな曖昧な話なんです。それに、あったとしても結局は過去の産物です。今は科学技術ですよ」

 一気にそこまで言葉を吐いたアルフォンスに別の意味で感心する。
「はー…よく息が続いたね」
「………」
 実はちょっと苦しかったりした。咳き込みたくないから胸をさすって、ゆっくり呼吸する。

「ま、いいや。…とりあえずここでは錬金術が機械より勝っている、見てな?」
 言いながら適当な石を拾い、地面に錬成陣を書き――――。

 ――――ぱしっ。

 発動させる。
 陣の上には籠。錬金術によって出来たツタ製の籠だ。
「!…」
「驚いた?」
「ええ」
「これくらいならちょっと出来るヤツなら、子供でも出来る」
「子供でも…?へえ」
「そっちの科学ってのも伝授願いたいね。…今度、ハウス栽培しようかと思ってさ」
「はあ」
「なんだっけ、ロケット…とか。ええと、ヒコウキ…とか」
「ええ、いいですけど…ハウス栽培に飛行機はあまり関係ないかと…」
「何言ってるんだ、発明はいろんな所から拾ってくるんだし?」



「――――と。………実はさ、門より気になるのは君だ。これは『俺として』だけど」


「は?ぼく…の?」


「そ。こうやって話してるとさ、すっごくまじめそーで、真っ直ぐそーで。…あの直情バカなエドワードともうまくやっていけんだな〜みたいに感じたわけだ」
 どうやらアルフォンスを褒めているらしい。

「でも、頑固でもあるよな。……『君』が錬金術が嫌いなら、見てなきゃいい。……でも君――――。誰かさんにも禁止してるだろ」
「?」

「そう思ってなくても、そう態度に出てる。さっきの言葉だって一気に言う必要ないし、君くらいの頭があればもっとうまく言える筈だ。…ところが〜?なんか支離滅裂な内容だったよな?」
「!…」
 くっ、と眉間にしわを寄せるアルフォンス。
 ラッセルの挑発したような…余裕がある物言いがちょっと苦手だから。
「(禁止…?ぼくが…?)」
「臨機応変。出来なきゃダメだと思うけど?…って俺もエドワードから教わったようなもんだけどな」



 ぽんっ、肩を軽く叩いてラッセルは未だに騒いでいるウィンリィたちのところに歩いて行った。



 ――――わからなくもないけどね、そういう気持ち。

「ま、怖いんだろ?」


 最後にちらっと聞こえた言葉。





 劇場版 鋼の錬金術師 第7話 次回予告!

 ――――
ラッセルの言葉はアルフォンスに影を落とした。

 しかし、時は無情(?)にも流れ……。とりあえず夕方のロックベル家。






ラッセルの口調がよく分からん。
よくわかんないのでドラマCD聞きながら書いてました。

必要以上にイヤミっぽくなってしまった(笑)。


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