金髪の人 ―2―
「金髪で…前髪横ワケ」 「ウィンリィか!?」 「あ。うんん、…男の人だと思う。白いシャツに…黒いズボン…。青い目」 「それってアルフォンスじゃん」 「ぼくはここにいますけど」 「つーか、そんなところまで見えるのか、サエナ」 「だってアルからオペラグラス借りたもん」 「お前、何でそんなの持ってるんだよ…」 「科学者なら当然でしょう?」 「…お前の『科学者の定義』が理解できねえ…」 サエナがどんどん、その特徴を言っていくうちに…。 「あ、目の前」 「何、してるんだ…?エドワード」 「――――ラッセル!??」 「失踪したって聞いたからこんな田舎まで探しに来たのに…母親の墓参りか?」 ラッセルは息を付きながら前髪を掻きあげ、それでも安心したように笑い、こぶしを出す。 「…生きて、たんだな、エド」 「勝手に殺すな」 にやり、笑って、そのこぶしに自分のこぶしをこんッとぶつけた。 「んで?こっちの人は?………あれぇ〜?エドより随分背が…」 あれ〜?の所は、『あの』ラッセル。わざとイヤミっぽく言う。 「だぁああああれが、年下のアルフォンスより背が低いってぇえええ!???」 「ホントのことだろ?20センチはあるんじゃないのか?……アルフォンス。…じゃあ弟か?お前、何人弟いるんだよ」 「ひ・と・りだッ!!!」 エドワードの叫びをさらりと受け流せるのはきっと彼くらいだろう。 「いえ、ぼくは違うんですけど…」 「それと…見かけないね、君も」 「あ、私は観光なので、おかまいなく」 「へえ、観光ならゼノタイムに来ない?こんな田舎よりいい町だよ。金細工はもうあまりないけど、おいしいトマトなら…」 「トマトかぁ〜。ね、アル。帰ったらトマトソース作ってあげる。シア姉にお土産持って行こうかな」 「へえ、楽しみだな〜って!!……そうじゃなくて!ト、トマトソースはいいけど。観光じゃないよ、サエナ…!」 「なんで平常心なんだ、コイツ…」 「つーかだ、ラッセルがいるってことは…やっぱりここはアメストリス」 「何言ってるんだ、エド。ヘンなカッコして頭までおかしくなったのか?」 「うるせえ。…ま、オレはいいとして…アルフォンスやサエナは戻らないと。それ、考えなきゃな」 「え。エドも戻るんでしょ?」 「エドワードさん…」 「………」 「…なあ、立ち話もなんだし…戻らないか?あのウィンリィって子の家にでもさ」 「いるのか、ウィンリィ」 「ん。………!ああ、そう言えばお前の弟もいたな、なんだ、じゃあそっちのは弟じゃないのか」 「(だから違うって言ってるのに…)」 既に反論する元気もないアルフォンス。冒頭部分で壊れていた分、発言を控えているようだ。 「!…アル、いるのか!?アイツ、無事なのか!?」 「ああ……そっか、お前、知らないんだったよな」 「そっか…生きて…」 「……。きっと身長は今のエドより低いよ。良かったな!」 にやり、また意地悪な笑みで、エドワードの肩を叩く。 「身長の話じゃねえええ!!!!!」 ――――墓地はゆるやかな丘の上にあったので、普通に歩いていても段々早足のようになる。 だからもう駆け下りてしまえ、の勢い。 エドワードの顔に笑みがこぼれる。 仕方ない、ずっと夢見ていた景色だ。 「エドワードさん、子供みたい」 「しょうがないよ、久々なんだから。遊ばせてあげよ?」 「…うん」 きっと咳き込み始めてしまうからと、アルフォンスは駆け下りるようなことはせず、ゆっくり歩いていた。 一方、サエナは駆け下りて、待って、を繰り返している。 そうこうしているうちに平坦な道になり…いよいよ目指す家が近づいてきた。 「ただいま」 小さくつぶやくエドワード。 劇場版 鋼の錬金術師 第23話(減ってるじゃん) 次回予告! ――――現れた影はかつてエドワードの偽者をしていた、ラッセル・トリンガムだった。彼は今、錬金術でトマトを作っているらしい(違うだろ)。 とりあえずゼノタイムに行くには時間がかかるのでトマトはちょっと置いとくしかない。 さて、久々に戻ってきたエドワード。 幼なじみウィンリィ・ロックベルの反応はいかに!! そしてアルフォンス・エルリックは…!? |
第2話。 きっと5話くらいまで続くのかな?(ビミョー) 『金髪』はホントはウィンリィ予定でした。 でも、久々にDVD見たら「ラッセルいいよな〜」と思い…。ラッセル。 アニメで最後にエドを見送ったのはトリンガム兄弟なんですよね(いや、ロゼだけど)。 だからラッセルもすごく心配している筈だ…と、リゼンブールまで来ていただきました。 さて、彼、トマトを作っているらしいです。 確かドラマCDでもエリサがトマトを作っていたような…気が…うろおぼえ。 彼の目、当初サエナの台詞は「青っぽい目」でしたが…アニメ見てると青っぽいし……で。 なんかよくわからんので青系にしました(アバウト)。所詮オペラグラスで見てるので。 トマトと言えばトスカーナ料理!!(えー) イタリア人家庭ではその家のトマトソースがあるという…。 じゃあサエナだってそれくらいは教えてもらっただろう!?と…。 というかですね、きっとバカの一つ覚えみたいにそれしか作ってない…。 TOP NEXT |