続 パセリ (買い物へ行こう続き)


「あら、いやだねえ、サエちゃん。またパセリ買いに来たんかい?」
 後日、サエナはまた同じ店に来ていた。
「だって、アルが「値上がりする」って言ってたから」
「?…そんなこと言ったかね?」
「え、違うんですか?」

 しばらく首をひねる二人。

「まあとりあえずこのパセリは植えておけば増えるから。グレイシアちゃんにでもやってもらいなさい」
「はーい」
「じゃあ、折角来て手ぶらもかわいそうだからね、何かおまけするよ、買ってかない?」
「ん!ええと、それと――――」

「!ああ。あのことね。……――――そうだ、サエちゃん。ハイデリヒくんに伝えておいて」
 女主人は今いきなり何かひらめいたように手を叩いてから言う。
「『あんたの』パセリ、害虫にも気をつけなさいって」

「……栽培、大変なんですね」




 さて、そんなこんなで夕方。
 アルフォンスの机の上には妙な伝言メモが置いてあった。



 『水をやる』と勝手に言葉が追加されている。伝言ゲームなんてそんなものだ。

「はあ!?……ぼく何か栽培するなんて言ったかな…?」
 メモを手にして思わず固まる。

「パセリ、パセリ……――――ああ!この前の。…でも、あの『言葉の意味』って、サエナじゃなかったっけ…?虫と水……??」
 腕組してうなる。


 もちろん、答えなんて出なかった。
「とりあえず、水…か…?」



「サエナ、…………紅茶でも飲む?」
 リビングの扉を開けて開口一番。
「?…うん!」
「そう、…じゃあぼくもそれでいいかな…」
「ねえ。アル、ガーデニングしてるんだ?」
「(ガーデニング…!?)………そういうことになってる…よね」
「へ〜。いつの間にしてたの?」
「ぼくが聞きたいくらいだけど」

 アルフォンスは一人暮らし生活が長かった所為か、こういう手際はとてもいい。気がつけばテーブルには紅茶が2つ。
「いただきます〜。あ、さっきシア姉からレモン(輪切)もらったよ、入れる?」
「ああ…」

「ふふ、おいし〜」
「そう?よかった」
 ふと気がつく笑顔。

「(よかった、のかな…)」
「アル?」

「なんでもないよ」
 思わずアルフォンスの顔も緩む。

「サエナ、今度エドワードさんとみんなで何処か遊びに行けたらいいね」
「うん、そうだね」





前回のを読んでくださった方の中で、

「パセリは勝手に増えますよ。でも害虫には注意。
…虫に注意はサエナと一緒ですね。頑張れハイデリヒくん」

…って来たので(笑)。おまけの話です。

そしてサエナのメモもちゃんと作ってみました(笑)。
こういう手書きフォントがあるのです〜。かわいくってお気に入りです。
文字がつぶれてしまってちょっと残念。
「アルのパセリの栽培はとても難しいので、虫と水くれにも注意してください」と書いてあります。



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