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山姥切長義 極の話。
考察とかまとめとかそう言うのあまり得意ではないので話を書く。
ホントは↓(この下に絵があります)の絵につけようと思った話だったけど考え無しに書いていたらつげ櫛出てこなかったので急遽落書きしたやつ。
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しゅす、と衣擦れの音がする。
銀色の衣に青い裏地。その所為で羽織の下の服は少しばかり青を帯びて。
「あ…」
「――――山姥切長義、ただいま帰還だ」
「お帰り なさい ッ 長義…!!」
「…おや、泣きたいのはこちらだというのに。君にとっては数日の出来事だっただろう?」
「!? ………え、泣くの!?」
「ははっ、それで良し。…全く面白いね。君は」
そう言えば、驚きが先に来て涙が引っ込むと思っていたが本当だった。
笑いながら審神者の横を通り、それから振り向いて手袋外して手を差し伸べた。
「ただいま、主。……こんなところで突っ立っていても仕方がない。他の奴らが来る前に部屋に戻るよ」
いつものように転送陣の間の扉を閉め、山姥切長義の神気が籠った鍵を鍵穴に差し込む。
キン、と光を発した後、扉の内部で音をさせ、それから光が止んだ。
「…驚かない?」
「君以外からの出迎えがないと?驚かないよ。……俺が騒々しいのが好きではないと知っているからだろう?それに他の男士が出迎えたからなんだというのかな」
「乱ちゃんの時は「あるじさーん、お菓子用意してみんなで待っててねー!!!」って言われたからみんなで待ってたんだよね」
「…声真似をするな。気色が悪い…」
想像がつく。両手をいっぱいにあげて手を振る乱藤四郎を。
それを真似して審神者が手を上げた。
「……それをしなかった事、それは褒めてやろうか」
「えへー。でしょ。……だから、私だけでいいかな、って。まぁ……薬研が気きかせてくれたってのもあるんだけど」
「…なるほど」
部屋につき、雪見障子を滑らせる。
当然だが部屋は出かけた当時のまま。―――それはそうだろう。本丸の中ではたいして時間は過ぎていないのだから。
だが、もうずっとここに足を踏み入れていなかった。自分の中では。
いつもの座布団に腰を下ろし、その真正面に審神者が座った。
「…感覚的には、久しぶり?」
「ん、そうだな…。修行としての月日の感覚は今となってはあまりない、が。確かに長い時間だったな」
「そっか、…一人で大変だったね」
「いや、…そうでもない」
「えー……あー元々長義って一人で居るほうが多かったもんねー…」
「あぁ、そうだな。……元々刀としては数百年存在し、…この身体を得てからこちら、政府職員として一年程度、それからこの本丸で君らと同じ時を過ごし、―――修行の旅、か。まぁ遠くまで来たな」
す、と折った脚を少し擦り、審神者の膝と当たるくらいの距離まで。
「―――君とこうなるまでは、「そうでもない」と素直に言えたな」
「じゃあ、今さっきのそうでもない、は…嘘?」
「………」
頬に手を当て。耳から髪に触れ。
「(あぁ、いつもの触れ方だ…私にとってはただの数日だったのに)」
「! おい…」
長義の青い瞳が一瞬揺れ、それから苦笑される。
何故かとその手に触れた雫でようやくわかった。
「なんだ、そんなに俺に触れて欲しかったのか。泣くほどね」
「いや、だって、手、……なんか、懐かしくって」
「…はは、…それほど恋しいと思ってくれたのならば、まぁ、俺の修行の意味もあったかな」
後頭部に滑らせた手をゆっくりと己に引き寄せ。
「…いつだったか言ったな。元々一年程度で政府に戻るつもりだったと。そして、その判断の為に君を観察していた、と。…俺を含めた刀剣男士を預けて良い存在なのか、俺が仕えるに値する人間なのか」
「うん、…そう言えばさ、私が質問に行っても丁寧に教えてはくれるけど、あまり、皆と話したりはしなかったよね」
「あぁ、それがこの俺だ。……俺は一つの本丸などどうでもいいと思っていてね。ただ、潰れず死なず運営してくれれば良いと、それだけだった」
髪に触れ、肩に落ち。少し力を増したのだろうか、互いに触れる部分の体温が上がる気がする。
「私の事、見なければ良かった、って言ってた時もあったっけ」
「そうだな。…君を見なければ、知らなければ、ただ俺は政府に戻る事ができた。俺の「唯一」などないと思っていたんだよ。いつか言った人の子の真似事をして家族を作っても枷が付くだけだ、それにそこまで他人に興味がない」
長義の背に腕が回る。
それから服をきゅ、と掴んだ。
「でもさ、…私を見て、それから大事に思ってくれるようになったのは…」
「そこからは言わずとも良い。知っている。…ただ俺は優しくなどないよ。……君が思う程、ね」
「そうかな」
「……あぁ、こう思えたのは、君が俺の事を心配したいと、守ると言ったからだよ。…それに、―――はは。何だ今更、愛やらの告白か?おかしなことだ」
「えぇ…?言い出したくせに」
長義の首元に笑った声の流れと共に温かい息が触れる。
「でもなんでもいい。…山姥切長義という刀剣男士が、これから先ずっと私だけを主ってしてくれただけでいい。今まで長義と過ごしてきた過去の主よりず――――っと、一緒に居られる」
顔を上げて、少し高い目線の青い瞳を見つめる。
「おや、主、だけではないだろう?」
「むしろそっちが本命?」
「そうではないのか?」
長義の両脚の間に座り直してその胸に体を預け。
「――――でも、少しだけ怖かった。長義が出かけるの」
長義の胸には今、審神者の背がある。
先程までは向き合っていたが、今は二人で同じ方向を見ている状態だ。
「は?」
「…私から離れて、冷静になって、……前言ったみたいに政府に戻っちゃうんじゃないか、って」
「………」
「だから、転送の間の時計の前で待ってて、あれが光らなかったらどうしようって思ってた」
刀剣男士の修行の期間とは男士が過去に向かっている間と当然だが本丸の時間は違う。本丸で合わせた時間に戻るようにはなっている。
それは男士が過去に戻り、本丸に戻るまでの時間が例え一日でも数年でも一緒だ。
「…何を」
「長義を疑っているんじゃないよ。そうじゃないんだけど。でも、長義がそれを決めて、幸せなら、…とか」
「…全く。何度言った? そういえば、一度政府に仕事で呼び出された時もそうだったな?」
「うん……… ――――っ!?」
両の腕が回り、身体をしっかりと固定される。
「確かにな、…はは、普段でも突然不安になっている君だ。…俺が居なかったらそうなるのは当然だったか…?それにしても、もう少し信用貰えると嬉しいけどね。まぁ、それも君の美点かもしれない。俺の枷になりたくない…と、いうのだろう?馬鹿馬鹿しいね…」
声は穏やかなのに、腕は少しばかり強くて。
「―――俺は修行中、何かを考えれば君を思い出していた。山姥を切ったやら、写しを注文打ちするほどの素晴らしい刀やら、…その時に「この素晴らしい」という評価、君ならどうするだろう。と」
「……っ」
「…無理に答えずとも良い。審神者になるまで刀に触れた事などなかった生活を送っていた君だ、突然刀を目の前に出されても「うーん?刀?」程度にしか言わないだろう?」
「…うわー…」
「はは、図星か。…それでいいんだ。無理に言われた評価になどたいして意味はない。また、誰かに「この刀は素晴らしいものだ」と言われて「そうか、じゃあそうなのだろう」とかね」
濃い色の髪に顔を埋め、息が頭に当たる。
「ん、……長義」
くすぐったく感じたのか身体を捩る審神者を許さず。回した両の手は身体を撫で。
「だが、君は一歩引いてこの本丸を眺めていた俺を見ただろう…?加州が言っていたな。「あんなツンツンしてた奴によく話しかけるよ」と」
「でも長義は答えてくれた。それが長義の本質なんだと思った。何度聞いても呆れるけどちゃんと答えてくれて、知らない所で手を回していてくれた。
私にもそうだし、私以外の子たちにも。そういう所、私は大好きで…。最初は政府の刀だからかなって思ったけど、あぁ、これは「この長義」だからなんだって思ったら…」
自分の目の前に廻っている腕に手を当てて。
「私は、私にとっては一番優しくて、一番の刀だと思ってる。…私が一番大好きな旦那様」
「……ありがとう」
「!」
「…なんだ、俺が礼を言うのがそんなにも珍しいと?」
ピクリと反応した身体に、苦笑して。
「うんん…。 長義も寂しいって思っていてくれたんだなーって」
「……全く、俺の話を聞いていたか?」
「でも、寂しかったからこんなに腕強いんじゃないの?それに、自分の大事な修行、考える時間だったのに…私がどう思うか、とか考えてくれてたんだよね…?」
「ッ…!」
一瞬、ゆるんだ。
おかしなことだ、自分で思う。
触れている部分の身体がかあっと熱くなって。
「……あぁ、そうだな」
「やった!私ばっかり長義の事、考えてたんじゃなかったんだ、長義も私の事―――――――……っ」
思わず振り向いた審神者の首筋に手を当て、手を広げれば首筋から耳が覆える。そうして動けないようにして。
突き当たった青い瞳はこちらをとらえて離さない。
「へぇ…やってくれたな。…まぁ、良い。そうして貴女の脳内を全て俺で満たしてあげよう」
まず耳に、息交じりに名を呼び。それから抱きしめたままのもう片方の腕は審神者の手を探して、指を絡めた。
「ちょう、 ぎ。 待っ… 今…?」
「おや…何を待つことがあるのやら…、貴女は俺を待っていたのだろう?時間にして少しだった筈なのに涙を浮かべる程。…ならば、その期待には夫として応えてやらなければ…ねぇ?」
「………!」
絡んだ指は、顔に当てた手はそのままに、少しだけ身体を上げて。
「っ…。 ――――――へぇ…」
数秒、押しあてられた唇。まだ目の前にあるその顔。
「以前もあったな、俺にされる前にしてやろうと唇を当ててきた事が。…さぁて、意地悪な俺はこれからどうしたら良い?可愛い妻に任せようと思うが」
頬に当てていた手、絡めていた指の手を離し、どうぞと広げる。
「……う、うーん……。と、とりあえず何も考えてなかったんだけど…」
「ただ、悪くない。…あぁ、そうだな。俺をねぎらうつもりがあるのなら―――もう一度。その続きは俺が引き継いでやろう」
「んー…じゃあ…」
肩に腕を回して。互いの胸がぴたりとついて、そうすれば二人、互いの体温の身体の質感を感じる。
近づいてくる顔に、長義はそのまま目を閉じることもせず。じっと見つめていた。
「……目、閉じないの?」
「何故?…あぁ、仕方がない。視界が君で滲むくらい近くになったら閉じてやろう。気にせずどうぞ?」
「う…」
唇が触れる寸前、少し動いた。
「!」
「……――――だからね」
それから押し当てられた柔らかいものが離れるのを許さず、長義はわざとだろうか、水音を立てながら絡ませ。
「…っ ぁ ン」
「…――――。 あぁ……当然」
顔を真っ赤にさせながら首筋に顔を埋める審神者に腕を回し。
「…貴女に総てを与えられるのは、この俺だ」
「ちょ ぉ ぎ…。 …は、…―――ん、…だから、長義は、私といればずっと折らせないよ…」
「! …あぁ、そうだったな」
「前に言ってくれたよね…?」
目の前の顔を、そ、と指で撫で。銀色の髪を梳いて。
「「俺でなければ、君を幸せにできない」って。これからも、ずっとよろしく。私の山姥切長義。私のたった一人の旦那様」
「あぁ。俺の唯一…。ここに改めて誓おう、俺の総てを以って、俺は貴女だけを幸せにする、と」
栗色の瞳、それを捉え乍ら長義は名を口にする。
「貴女の名は、俺だけが知っていればいい…」
今生きている者たちがいつかいなくなり、君の名を知っている者らがすべて消えても。
俺だけはその手を取っている――――未来永劫、この時間が歴史となっても、ずっと。
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長義の手紙 3 の話というか、この「ずっと観察していた」はうちの長義さんそのままだったので、本当にうちの長義から手紙が来た気分でした。
それなので↑の話も「何度も今まで書いてるじゃん」みたいな感じですが(笑)。
何度か「観察していた」は書いてますが例えばこれとか(一昨年の主の誕生日の話)
うちの長義さん、主を観察してたら惚れてしまった系。
ふぉろわさんからも「かりなさんちの長義かと思った。最初から極めてたのかww」と頂きましたよー。
今まで極来るの正直怖かったのですが(うちでは山姥切ズが険悪とかそう言う感じではない。割と長義がお兄さんやってるよなぁ)、この手紙3ですべて吹っ飛んだ感じでした。
私にとって長義の極はある意味想定外でした。だって今まで何度も話に書いてきたことが普通に出てくるとか想定外だよね…!??
極の感想とかなんとか、というより、うちの長義さんがうちの長義さんのまま帰ってきてくれたことが一番だったなぁ。
Twitterのタグでたまたま「長義極に情緒をやられた…なんとか」ってのを見かけたのですが、情緒をやられるというか違う意味でやられた感じです。だって今までと変わらないから。
…というか、回想で「ながよし」って読ませていたのは何だったの…??
あと童子切と脚のデザインj似てるんですが何かの伏線で無い事を祈る(笑)。
あと、「政府に仕事で呼び出された」話はこちら。
おまけ。
そして、ホントはこっちに話をつけようと思っていたつげ櫛と長義さん。
うちの長義さんつげ櫛ガチ勢。
山姥切長義「梳いてやるから近くに、とは言ったが、ここまで近くに来ずともいいのだけど?」
「あとで長義も梳いてあげようか?」
山姥切長義「……おい、話がかみ合っていないぞ」
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