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刀剣乱舞 山姥切長義

過去絵リメイク
何枚かリメイク描いてるけど、ほんと表情変わったなぁ…(そして過去の方が丁寧な時もある(笑))。
1年くらい前の絵が見るに堪えない…。


話も何もないけど思いつくままに何か書いてみる。


―――――――――――――――――

「あ。お帰り、長義」
 障子が滑り、黒い靴下が部屋に足を踏み入れたのが見えたから、そう声をかける。

「ああ、―――君は俺の外套を被っているのが好きだねぇ」
「ひざかけ出すの面倒だったからー」
 あはは、と笑いながら二つ折りされた座布団から漸く頭をあげた。
「…そういう馬鹿な事を言っていると身体が根を張るぞ。全く」
 畳に寝転がっている自分の主を見下ろし、額に手を当てながら息をついた。

 長義は審神者の隣に腰かけると近侍用の端末を取り出し、何やら画面を操作し始める。
「どうだった?」
「うん?……まぁ、大したことではない。滞りなく終わった。これをまとめたら見せるよ」
 折った膝の…腿の高さが丁度いいのだ。審神者は長義の腿に顎を乗せ、何となく見える端末を眺めた。
「……男士だけで話し合いーなんて。なーんで主の私、参加不可なの」
「男同士で話したい事もあるんじゃないのか」
「ないのか、って長義だって参加してたじゃん」
「……まぁ、色々ある、と言う事かな」

 これだけ刀剣男士が居れば話も脱線する。
 それに「刀剣男士会議」と仰々しく銘打っているが新しく来た男士の顔合わせの意味合いがある…事もある。
 きちんとした顔合わせ会の様なものは勿論、審神者も同席なのだが―――ただ、

「(上がいないほうが言いやすい―――などと表向きは言ってはいるが、ただの女性に聞かせたくない話、というだけかな)」
「……長義?」
「全く面倒だね。次回があるならば俺は参加を遠慮しよう」
 正直に言って、この本丸の山姥切長義は大人数と騒ぎ立てるような宴会は苦手だと感じている。
 しかも本丸運営にあたって重要な話はほぼ出てこない。
「え、近侍は聞いてたほうがいいんじゃないの?」
「何を勘違いしているのかな…。酒が入るような席だぞ。あんなものはただの宴会だ。…もし何かあってもあとで偽物くんやら薬研やらに聞くさ。ああ、長谷部なら真面目に話を拾い上げててくれるだろう」

 話ながらまとめていたその内容。その画面を審神者に向けた。
「そら、見せてやろう」
「……。 あー…。 大したことないね。ここ最近は新しい男士も居なかったから?」
「…だろう?」
 そこには「大したことがない話」が並んでいた。


 机に端末を置き、長義は自分の膝の上に載っている頭を、す、と撫でた。とはいっても外套の上からだ。濃い銀色の布が頭をほぼ隠しているので長義の視界からは覆いきれなかった濃い色の髪が見えるだけ。
 自分の衣装だ、慣れた感覚が手に伝わる。

「……。 ああ、知ってはいたが…神気が合っているんだな、本当に」
「ん?」
「君が俺の外套を被りたがる理由だよ」
「え、なんかあるの?」
「まぁ、…こんな事を調べようとしたわけではなし、はっきりとは言えないけどね。…君がこれを被っていたいと思うのならば…、この俺がいない時、意識しない何処かで俺と繋がりたいという事なのだろう」
「へー…」
「男士が纏っていればそのモノはその男士の一部となる。俺たちは刀であり、モノだからね。人の子より通じやすい所はあるだろう」
 手を胸に当て。
「ああ、君の木櫛や鏡もそうだ。あれは力を意識して注いでいるから特に、かな」
「長義がいない時、代わりにしてる、ってこと?」
 見上げ、その動作でするりと落ちた外套を何となく引き寄せる。
「簡単に言えばな。…以前「俺の代わりにはならない」とは言ったが、……あながち嘘ではなかったという事か」
 まぁ、勝手な憶測だけども。 と付け加え。

「あー。でもあってるかも。…ひざ掛けとかああいう素材ってふわふわであったかいでしょ、…長義のこれもそのジャージもあったかい素材とは言えないけど、なんか温かい気がするんだよね。って思ってた」
「へえ…。自分で纏っている分にはわからないが、なるほどな。 ………? どうした」
 ぎゅ、と腹に顔を押し付けられる。
 腕は長義の身体をぐるりと回り。
「でも今は本物がいる。私の長義…」
「はいはい」
 外套の下に手を滑らせ、その髪を梳きながら撫で。

「な、んか……。嬉しいかも…」
「何がだ?」
「だって、長義の神気が私とあってるー、なんて…っ ふふ」

 そう、これは好きだのなんだのの「他の」話なのだから。
 身体の奥からじわりと温かい気持ちが流れて、どうにも顔が緩んで。その顔を隠すように押し付けるしかなかった。

「(ああ…)」
 腹に当たる熱い息もそう言う事かと長義は、ふ、と笑う。
「まぁ当然かな」

 緩やかに腕を解かせながら、自らも審神者の真横に身体を横たえた。
 腕に審神者の頭を乗せるようにして。

「全て俺で囲っていく。…これが正史ならば、貴女と俺の気が合わないわけがないのだからね」
「わ、何それ…。なんかすごいんだけど」
「だが、既に実証済みかな。…もし本当に俺と君の気が合わなかったら、櫛や鏡を手にした時点で俺の気に負けて酔っている筈だよ。位は人の子の方が低いんだ」
「え、あの。…他の本丸の男士に当てられた時、みたいに?」
「ああ、厳密には違うがそれに近いな。…意識して力を注いだ、と言っただろう?そんなに強い物は合わなかったら所有の刀剣男士の物でも酔うだろう。手にしていられない程に、ね」
「ひぇ…。なんか怖…」
 ひきつったような表情を見せる審神者に苦笑し。
「だが真実だよ。君が相手をしているのは付喪神だ。 ……まぁ、俺はそんなヘマはしない。もし仮に合っていなかったとしても君に合うように調整はするよ。初めて手にした時に君が酔わなかったから特に調整をしなかっただけだ」
「……―――〜っ」
「…どうした?」
 青ざめたり、赤らめたり、どうも表情が忙しい。
「いや…だって、……うん…」
「はっきりしないね。…あぁ、俺の優しさに感激でもしたか?」
 少し顎を上げ、はっ、と笑う。
「そりゃ…私のこと考えてくれてるなら嬉しい、でしょ。…ずっと淡々と仕事してた長義が、って感じだし」
「ああ…そうだな。……俺の主が君でなかったら、主と刀剣男士、と言う間柄で終わったろうね。……なるほど、俺の妻になるという正史は変えられないという事かな。…はは…。これは思いがけず愉快な話になったな」
「ふふ、長義の神気注がれまくって、私、人からちょっと変わっちゃってもいいやー…なんて」
 愉快だと声を上げ、青い目でこちらをとらえる。
 自信に満ちたその視線、捕らえるような強い視線の中に見える優しい色。

「おや…付喪神の俺にそんな事を言っていいのかな。ご希望ならそうするが?君をこの布で「隠す」ことも容易だろう」
「…長義は私に悪い事はしないでしょ?」
 目の前の顔、少し恥ずかしそうに左手を口元に当てている。
 目線を少しずらせば、青色の石がその指に。

 ああ、これも、だ。
 この石もここ1年ほどで色合いが変わってきたようで、青色はただの青ではない複雑な色を宿した。購入時も「瞳の色に似ている」と店主に言われたが、その頃の比ではない。
 自分の瞳を鏡に映しているような複雑な色。

「ああ…」
 言葉を続けるより、と、柔らかいその指に唇を当てた。





少し短めに話でした。
男士だけ会議はよくわからん。
ストール被ったり内番着被ってる理由があったのか(笑)。
他本丸の男士の気で酔った話はこちら


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