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夜明け171号

娘と


娘と来た大学のオープンキャンパス

門をくぐると

三つ 四つと並ぶ校舎

芝生のグラウンド

 

通された教室に集う 大勢の高校生

知る人のいない集団の威圧感

緊張気味の娘

 

説明会に模擬授業

在学生からのメッセージ

学食での食事

 

専門学校の経験しかない私には

目新しいことばかり

 

思えば今まで

誕生日やひな祭り

七五三、旅行

クリスマスにお正月

 

やってあげる 連れていってあげる

そう言いながら

子供の服を選び

こっそりプレゼントを買いに行き

一番楽しんでいたのは 私だった

 

辛いこと切ないことも

巡り来る行事に癒されてきた

あげたものより

沢山のものを貰ったからこそ

母でいられたのだろう

 

肩を並べ歩ける喜び

緑のキャンパスを見ながら描く

これから始まる娘の

明るい未来の豊かさを

 



           

                 夜明け 169号 2011.4/13
           

                 夜明け 168号 2011.1/24
           

                    夜明け 167号 2010.10/26
      

            薬味

 

   「辛い」を楽しむ

   ふと手にした雑誌の見出し

   つらいをたのしむ

 

   開いてみると

    辛子やラー油

    ワサビの特集

 

   辞書を調べる

   やはり

   つらいもからいも同じ字

 

    からいはつらい

    つらいはからい

 

    読んだ本の一節にあった

    つらいことは嬉しいことを

  より嬉しく味わうためにある 

  そのお陰で日々の普通のことまで

   どれだけ温かさのこもった有難いものか分かる

 

   今は

  楽しむほどの余裕はない

  でもいつか味わえる日が来るといい

  寿司に付いた山葵のように



                 夜明け 166号 2010.7/26
             

      

                 小野 啓子

 

     蜘蛛が壁を登っている

     真っ直ぐ 器用に

 

    思えば

     フリークライミングやロッククライミングで

    手やロープを使い

     絶壁を登る様はまるで蜘蛛

 

   ロケットで宇宙に行き

     潜水艦で海底にもぐる

   人は鳥にも魚にもなろうとする

 

     私は 

     日々 目の前の事で精一杯

   非力な自分を知っているだけれどー

 

      人にとって一番大切な

    愛する心を

      鷲づかみで奪い取る

      戦争という悪魔

 

      弱った地球を苦しめる

     環境破壊や温暖化

 

  あどけない幼子の夢のように

   努力や才能以前の

   無謀で叶わぬ望みと解っている

 

   それでもなお希うのだ

   魔法使いと言う名の

救世主になりたいと


        夜明け 165号 2010.4/26
      

      雪崩

                    小野 啓子 

       白く輝く雪山の

     始めは転がる 小さな雪玉

 

    山肌からすべり落ち

     揺れるように流れ出す

   命を持った生き物のように

     岩を打ち しぶきを上げ

     奔放に

     巻き込み広がり

     怒涛となる

 

     呑み込まれるような恐怖感

   それを映像で見る美しさ

 

    どんなに人が挑んでも

   計り知れない 自然の偉大さ

 

    選りすぐった言葉を積もらせ

   人の心に雪崩れ込む

    そんな詩が書けたらいいのに



                         夜明け 164号 2010.1/10
          

                        夜明け 163号
          

                                      夜明け 162号
          

                             夜明け 161号
          

    秋色       夜明け 160号

 

 

    ふっと

    足を踏み入れた

    甘く柔らかな

    夢空間

 

    そこは三十年も前

   友と歩いた坂道につながる

 

    口数も少なく

    空に響くのは

    二人の足音ばかりで

 

   家の角々にある

   金木犀の香りが

   古都鎌倉を包んでいた

   そんなオレンジ色の思い出

 

   この季節になると

   胸をくすぐるように香り

   町の中で出会う時々

   まるで無防備な旅人が

   仕掛けられた罠に落ちるように

   追憶の彼方に惑うのだ

 


         

   波 間     夜明け 159号                                                                      

 

   自分の意思で生まれてきたかのように

   足元に まとわりつく

   愛しい小波

   気付けば 膝に

   もう 腰のあたりで波打っている

 

   どこから生まれ続けるのか

   あてどなく

   遠く遠くへ 注がれる視線

   それに呼応するように

   時は水平線を越え

   永遠という言葉に真実味を加える

 

    波はプリズム

   陽の光を受け

   漂う心も夢見がち

   時には 黒衣をまとったまがまがしさに

   恐れおののく

 

   深海の底に潜むシーラカンスの眼

   月長石のような色合は

   輪廻を見続けてきた海神(わだつみ)の化身

 

   波がすっぽりこの体を越え

   いつの日か

   呑み込まれてゆく

 

   ゆるやかに身をまかせ

   不思議な青い眼に導かれながら

  未知なる地へ辿り着くまで

 
            

            祈り                           夜明け 158号

         針は時を止めたまま

         枯れた木の枝で

          ぐにゃりと曲がった時計

           

         廃墟と絶望

         花も咲かず

         蝶の舞うことも無い異空間

          

         大釜の中には

         不気味な褐色の毒薬

         長い柄の杓子

         かき混ぜる魔女のつぶやき

 

         悪に打ち勝てるのは

         権力でも、正義、武力でもない

         おとぎ話の結末を幸せに結ぶのは

         いつだって主人公の無邪気さなのだ

           

         小学生だった母は戦火をのがれ

         高崎から月夜野へ移り住んだ

 

         放射能の雨は危険

         濡れないように 必ず傘をさしなさい

 

         幼い頃 いつも母から言われていた

         痛みから生まれた言葉

 

         平和というガラスケースの中

         イマジンを聞きながら大人になった

         今でも

         戦いのなくなる日が来ることを

         祈ることしかできない私にとって

         広島 長崎

         八月十五日の心象

         それは一枚のダリの絵なのだ

           
                                           157号
                   

               
                                            156号

 

      少憩                         154号

                    小野 啓子

 

学校に行くという

自分の意思に反して

朝食を前に吐き気を催す

 

私は赤ん坊の時のように

抱きしめて 

そっと背をなでる 

 

今は歩けないと言うなら

一緒に休もう

 

その場所が

針のむしろと感じているなら

行かなくてもいい

 

皆と一緒に頂上を目指さなくても

朝日はどこから見ても 

明るく輝き 照らしてくれる

 

例え後ろに遅れ

皆の背中を見送ったとしても

ゆっくり歩き出せばいい

季節は変わっても

景色はまた違った装いで 待っていてくれる

 

世間体も 人の噂も受け流して

自分のペースで歩けばいいし

どこからでも やり直せる 

あなたが 生きてさえいてくれたら



                        山茶花       153号


    
困難に打ち勝つ
   ひたむきさ
   山茶花の花言葉

   蝶も蜂も消え去った
   風花舞う木枯らしの中
   なぜ敢えて冬を選んだのか

   紅のように 赤い花びらを震わせ
   静かに微笑んでいる

   冬木立の中
   ひときわ目を惹き
   痛々しくも見える

   だからまた問いたくなる
   なぜ 冬なのと





                      入園料                    152号

   大人一人 350円
   三歳以上の子供 一人 250円


   畑に入り りんご食べ放題
   時間制限なし
   持ち帰りは はかり売りとなり
   何個でも もぎ取ることができる


   安いねえと 喜んでくれる人
   350円かと 迷う人
   350円分食べられないと 買って行くだけの人
   やってみたいという子供をよそに
   入園料が高いと 車に引き返す親たち


   外国の人もりんご狩りに来る
   畑の隅で 神に祈りをささげたり
   ラマダンで 試食できないというイスラム教徒
   インドから研修に来たという青年
   フィリピンの女の子たち
   英語教師の イギリス人 カナダ人


   畑に案内すると
   赤いりんごに思わず歓声をあげる
   引き寄せられるように りんごに手を伸ばす
   畑の中のりんごを自由にもぎ取り
   写真を撮り 切って味わう
   人それぞれ
   どんな思いでりんごを口にしているのだろう


   350円は安いのか 高いのか
   売店でお茶を用意しながら
   畑から帰ってくる お客の笑顔を待っている



        希望の石            151号

   ピンク色の
   インカローズのネックレス
   店先のショーケースの中に
   偶然飾られていた
   諦められず
   次の日 買いに行った

   「バラ色の人生」への扉を開く


   石の持つ
   秘められた 意味と力
   その言葉に惹かれたのだ

   ガラスのような光沢
   丸い珠のつらなり
   手に触れる なめらかさ

   強く握ったら 糸から離れ
   珠は飛び散ってしまいそうなのに

   私の人生の夢と希望
   そんな重責を負わせていいのだろうか

   それでも
   石の力を信じ
   護符や飾りとして
   昔から身に着けてきた

   自分の弱さをいましめ
   迷いながら
   もしかしたら の希みに
   かけようとしている





  危険な食卓                      150号

 

  「病気にならない生き方」     (針谷弘実)

  「食品の裏側」           (阿 部司)

  「経皮毒が脳をダメにする」 (竹内久米司)

  「間違いだらけの医学健康常識」(石原結實)

 

   題名に惹かれ

 

   買い 読んだ本

 

   身の回りの食べ物の

   見た目や利便性を求め 生きる為の食べ物は

   もはや人間の食べ物ではなくなった

 

   スーパーの売り場 売り場で立ち止まる

   手を伸ばし パッケージの裏を見る

   添加物を確認して元に戻す

 

   一体、何を買ったらいいのか

   育ち盛りの子供に

  安心して食べさせられる物

 

   夫も私も何よりも、まず自分たちが 

   安心して食べられるりんご作りをしている

 

    それが一番大切なことと信じ

   実践しているだけの事なのだ

 

    牛乳もお茶も 体に良くないというなら

   飲むのは止めようと決めた

 

  それでも足首が痛んだりすると

 

   牛乳を飲まないために

   カルシウムが不足しているのだろうかと

   小魚は摂っていても不安になる

 

    これが洗脳なのか

    何が本当で

   何がまちがっているのか

 

    人の口に入るものを作る全ての人の心を

   美味しくて安心なものを作る

   そんな言葉で 洗脳できたら――

 

     
救世主             詩集「想い」掲載   群馬詩人会議  「夜明け」  149号              

  洗濯機が終了のブザーを鳴らす

   毎日のことながら

  おもむろに蓋を開ける

  ステンレスの水槽(ドラム)の底や横に

  下着 ハンカチ 小物がへばりつき

   真中では シャツやTシャツ

  大きな物が絡み付く

 

  絡み防止の洗濯ボールは

  役に立っているのかどうか

 

  初めて全自動洗濯機を使い始めた頃

  終了ブザーの音にかけ寄り

   ありがとうと声をかけた

  脱水までしてあることが嬉しかった

 

   今 小さな世界をのぞき込み

   相も変らぬ様に 溜息をつく

 

   脱水して情けなくへばりついている下着をはがす

   底に しわになり丸まっているハンカチは

  手のひらで叩き

   袖の絡み合うシャツをほどく

 

  この世界にとっての

   救世主は私なのだ

 

   ハンガーに形良く吊るし

   太陽の当たる場所に干す

   洗濯物は生き返ったように

   さわやかに 風にはためく


                     詩集「想い」掲載  群馬詩人会議  「夜明け」  148号

     
  騒々しい子どもたちは まだ起きてこない
    ストーブの送風音だけが
    さやさやと低く流れる
    静かな朝の日曜日

    こたつに入り
    お茶を手にして気付く

    七匹の金魚は水槽の中で
    止まったまま
    動かない
    時間が止まってしまったのか
    体が硬く麻痺する感覚

    この静寂を破ってはいけない
    張り詰めた空気が
    動くことを制止する

    八畳の部屋の中
    眠っている赤い金魚

    私は息をひそめ
    石のように無になる




                
       詩集「想い」掲載    群馬詩人会議 「夜明け」 147号

       手を伸ばして その先五十センチ
     波間に浮き揺れる海草
     何年かぶりの海水浴
     高揚した気持ちで水を蹴る

     胸までの水面
     一歩先の深みに気付いて後ずさりする

     やって来る波に乗り
     手元に届くと待っているのに
     波はこの身を通り過ぎても
     海草は近づいてこない

     次の波も
     大きなその次の波が来ても
     この手には届かない
     同じ場所に漂うばかり

     波みが運んで来ると見えるのは
     錯覚だったのか
     目の前にあり
     この手につかめそうで つかみ取れない

     海が牙をむくことに 恐れながら
     あきらめと望み
     どちらも捨て切れず
     動けないのだ



                    光風     詩集「想い」掲載  群馬詩人会議 「夜明け」 146号

        空は晴れながら霞
    
  花畑には
     白や黄色の蝶が飛んでくる

     一匹が気まぐれに
     二匹の蝶が踊るように
     追いかけながら

     心がありそうで なさそうな
     命があって 生きていることを感じさせない

     いたずらな妖精が糸をたぐり ゆるめては
     楽しんでいる
     まるであやつり人形

     時々 強い風が
     糸をからませ
     もつれて切れて
     たよりなく風に乗り
     木立ちの向こうへ飛ばされる

     ほどなく 一匹が
     二匹 三匹............
     また遊びにやってくる

     それは何度も何度も
     繰り返されて
     やわらかな日差しの昼下がり


               運命          詩集「想い」掲載 群馬詩人会議 「夜明け」 145号

      タイムトラベルなど有り得ない
      この場所は唯一ここだけに存在する
      流れ消えゆく時間なのだから

      タイムトラベルの研究がされているらしい
      そう言う夫に反論した

      ガリレオは今の時代にもいる
      深く広い視野で宇宙を見ている

      地球は太陽の回りを動いている
      その軌道上に昨日(きのう)が一昨日(おととい)が
      フイルムのように刻まれ
      残像としてあるならば

      昨日(きのう)に悔いなど残したくないし
      過去に何かを求めても仕方ない
      そうは思っても
      帰りたいあの日がある

      この手に過去をすくい取ることができたら
      戻りたい瞬間に出会えたなら
      映画のように
      現在未来は 今より幸せに変わるだろうか

      どんなに あがいても
      今の自分を持ってしても
      結果を変えることなど出来ないのかも知れない

      もし変えることが出来たなら
      運命という言葉は
      きっと消えてなくなる


      真珠    詩集「想い」掲載 142号

       小さなガラスのかけらを
       踏み付けてしまった
       医者でさえ 取ることは難しいと言う
       だから
       あこや貝のように
       触れるとがった角の痛みを
       分泌物で幾重にも覆い
       真珠のように育てていく

       貴女も心に
       刃のような 言葉のかけらを刺し込まれ
       痛む傷をそっとそっと
       包むように
       かけらが丸くなるように
       泣きながら
       さすりながら
       かばいながら
       長い日々を重ね
       宝玉となり
       美しく輝き出す時を待つのだ

       そうして誰もが
       胸の中に
       いくつもの珠を抱いて生きている




                
福寿草          141号


凍てつく風の中
僅かな日溜りに
黒っぽい頭をもたげ出て来た

まだ冬の盛りと
雪が降りかかる

自分の頭の雪さえ
払うことも出来ないのに
厳しい冬に歯向かいながら
寒さの中でも
少しずつ膨らんでいく蕾

生意気のようで
儚くも見える
まるで思春期の子供のように
精一杯背伸びをして

灰色の羽をした
みにくいアヒルの子と同じに
やがて黄色く
鮮やかに
柔らかに花開かせる

小さな春を
蕾の中に詰め
かたくなに
今、伸び上がろうとしている



詩集「想い」掲載



        雨上がり               夜明け  群馬詩人会議140号掲載
         
          朝から雨
         今日はお客の少ない一日だった
         売店のガラス戸を開け
         一歩外に出る

         りんごの木には
         鈴なりの陽光の実
         こっくり深い赤色
         濡れた緑の葉も
         雨上がりの
         差し込める日の光りに
         たった今
         スイッチが入ったというタイミングで
         一斉に雫がきらめき始めた

         クリスマスツリーのイルミネーション
         あるいはプリズムを砕き散らしたように
         夜空の星をみんなこの木に集めたような

        紫水晶(アメジスト)
        オパール
        ルビー

        夫から貰ったどの宝石よりも
        輝いて この目を釘付けにする

        りんごからの少し早い
        結婚記念の贈り物
        スイート20 ダイヤモンド

        とても数えることなど出来ない
        抱えきれない雨の雫のダイヤモンド
 

                 理屈      詩集「想い」掲載 夜明け  群馬詩人会議139号掲載

   さあ、勉強しようっと

   座卓の上の食器を片付けて拭いてね

   私の言葉を避けて
   逃げる様に机の前へと行く

   そのくらいの手伝いはしたっていいよね
   もう一言付け加える

   テスト前に手伝いする子なんて
   誰もいないよ

   じゃ、中学生は勉強だけして
   手伝いはしないってこと?

   テスト前だから仕方ないでしょ
   悪い点取ってもいいって言うの

   小さい頃から
   やってはいけないと制止する
   私の言葉は素直に聞き
   逆らうことなどなかった

   内弁慶で
   幼稚園や学校でもおとなしく控え目
   叱られことに おどおどしていて

   その子が私に反論している
   勇気のいったことだろう
   まだまだ自己中心の屁理屈だけど
   こうして対等に向き合っている
   何だか頼もしく見えてきた

   もっともっと 理屈をこねればいい
   これは大人になるための練習曲

   勉強だけで他に何も出来ない
   そんな大人になりたいの?
   社会に出ていく自分のための
   人のために役立つ大人になる
   そのための勉強じゃないの

   食事の後五分や十分の
   手伝いが出来なくてどうするの
   そのためにテストの点が悪くなっても
   それは仕方ないよね
   さあ 片付けて

   不満の色を顔に残し
   投げやりに はあい と答える
   足音も荒く
   しぶしぶ食器を台所に運ぶ

   言葉を投げたら
   受け取り 投げ返す
   キャッチボールの様に繰り返していたら
   いつか上手になり
   状況に応じ
   どんな球を投げたらいいのか
   回りの人の動きも見えてくるはず

   その時 自分はどうすればいいのか
   解かるようになる
   いつの日か きっと


                                     夜明け  群馬詩人会議138号掲載

  林檎の花がどの木にも
  細い枝先にまでびっしり咲いて
  畑の中に満ち満ちる
  五月の光を反射する

  風の向きによっては
  甘い香りがして
  林檎の花は
  やはり林檎の果実と同じ匂いを漂わす

  無垢な花びらがそよぎ
  まばたきした瞬間
  柔らかな羽に
  白いドレスをまとった妖精が
  ステップも軽く踊っている

  雉や鶯の歌に
  心はずみ
  自然に体が舞うように




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