‡エスナピンチ第四弾前編(続きモンかい!( ̄口 ̄;)) 〜温泉旅行は甘い罠(!?)〜
いかにもなんだか豪華そうな金色の玉が零れ落ちる。それを食い詰めたように見詰めた後、店の親父は大げさにガンガンと鐘を鳴らした。
「おめでとうーーーーーーー!!!!!!一等賞!!!!!!レグランス温泉旅行、ペアーチケットだよー!!!!」
そう言うと、熨斗に入ったチケットをエスナの手に押し付ける。流石は天使。。。。。運だけは抜群だ。なんだか買い物行った帰り、くじ引きであっさりと
一等賞を当てたらしい。
だが。。。。。。
「旅してるんだから、旅行って言われてもな。。。大体、こんな真夏にレグランスなんて、僕は冗談じゃないからな。そんなもん売り払って酒でも買った方がましだ。」
ロクスはどうやらあまり嬉しくないようだ。
「うーーーーん。そうですかぁ。。。。レグランスですから、ルディに会えるかもしれませんよ?」
別に会いたくない。。。。っと即答しようとしたロクスだが、店の主人に耳元で何かを囁かれ、ピシリと硬直した。。。。。。。その3秒後。
「よし!行くぞ!エスナ!」
物凄い乗り気になっていた。怪しい事この上ない。
「あっ、行くのですか〜。良かったですー。やはり、ルディも同じ勇者ですから、気になるのですね。」
ロクスがそんな柄な訳ないだろう。。。。此処にローザが居た場合は、絶対に疚しい事があるに違いないと警戒するのだが、そんな事は微塵も思わないのが。。
エスナの長所と言えば長所だ。
[†]
「。。。。。っと言う訳なんですけれどー。。。。。」
その後、エスナは天界で妖精たちに状況を説明していた。2泊とは言え、やはり任務を離れる訳だから、そう簡単には行かない。
「良いんじゃないですか?天使様。たまには疲れを取ってきて下さい。」
素直に頷くリリィ。
「でも。。。。怪しいですね。。。ロクス様が急に行くと言ったあたりが。。。」
流石だ。。。。ローザよ。
「フロリンも行きたいですー。」
が、それを言ったフロリンダはシェリーの放ったローリングソバットで吹き飛んだ。カンガルーパンチを凌ぐ威力である。。。
「いったぁ〜〜〜い。。。。もう何するのよ〜。リリィちゃん。」
頭をさすりながらよろよろと起きるフロリンダ。
「駄目よ。エスナ様とロクス様の邪魔しちゃ!!」
「えーーーーーー。フロリン、ロクス様みたいな変態エロエロ勇者とエスナ様がくっつくなんて嫌ですぅ〜。」
凄い言われようなロクス。一体フロリンに何をしたんだ。(笑)
「と・に・か・く・邪魔しちゃ駄目よぉぉぉぉ〜。。。。。解ったわね〜〜〜!!!!!???」
「。。。。。。。うん。」
シェリーは燃えていた。それも別の意味で。妖精たちの陰の企み(?)は知らず、こうしてエスナは2泊レグランス、温泉旅行に出かけたのである。
[†]
「わぁ。。。。レグランスってやっぱりとっても穏かで良いですね〜。ルディが自慢するのがわかります〜。」
「。。。。。。。熱い。。。。。」
旅館に着いたやいなや、はしゃぐエスナを他所に、ロクスは機嫌が悪かった。だが、それも我慢、我慢と自分に言い聞かせる。そして、入り口まで行くと女官が迎えに。。。。
出た。。。。。筈なのだが。。。。。
「いらっしゃいませぇ〜〜エスナ様ぁ〜、ロクス様ぁ〜。」
ロクスは側にあった大理石に思いっきり頭をぶつけていた。
「なんでお前が此処にいるんだ!!!!!!!!!!!!!」
其処には間違いなくフロリンダが、しかも南国の衣装に身を包んで立っていたのだ。
「ロクス様とエスナ様を二人っきりにはしておけません!でもぉ〜、フロリン、お金ないので、此処でアルバイトをさせて頂く事になったのです〜。」
邪魔をするんだったら妖精のままですれば良いのではないのか。。。。やはり何処か抜けているフロリンダであった。
(ちっ。。。。。余計な事を。)
内心で小さく呟くロクス。が、直に女将に呼ばれて行ったフロリンダを見て、まだチャンスはない訳でもないなとほくそ笑む。
そんなこんなで、女官(フロリンダ以外の)に案内されるまま、部屋へと向う二人であった。
「それでは、お食事まで暫く時間がありますから、宜しければ当館名物の温泉でもお楽しみ下さい。得に、夏の露天風呂はレグランスの名物でございます。」
夏に露天風呂とは熱い事極まりない気もするが。。。(汗)レグランス王国の風習にケチをつけるのはまぁ、後に置いておくとして、とりあえずする事もなく、二人は
温泉へと向うのであった。此処で、ロクスの目的の一つが達成されようとしているなどとは、エスナは夢にも思わない。
「。。。。。。。混浴。。。。。。とはなんですか?ロクス。」
温泉の前にデカデカと書かれた文字を読んでエスナは首を傾げた。そう、此処まで来れば、殆ど予想は付いているかもしれないが、レグランス王国では、
温泉=プールと同じと言う感覚があり、よって、全て混浴なのである。地元民にとっては普通な事なのだが、他の土地、得に礼儀作法に厳しいエクレシア辺りの住民にとっては
可也羨ましい。。。。もとい、許しがたい風習なのだ。
「あぁ、別に大した事はない、入るんじゃないのか?エスナ。」
常にエスナの周りにしつこくボディーガードの如く付きまとう某妖精に邪魔ばかりされているロクス。これくらいは許されるだろう、っと思い、着替えて、温泉に入る。
ギラギラと照りつける太陽の下、白い蒸気が立ち上る。この非常に暑苦しい状況の下、温泉に入る前から汗だくなロクスとは対照的に、エスナは涼しげな顔をし、湯に浸かっていた。
実際温度を感じないのだが。。。。
「これが温泉なんですか〜。気持ち良いですか〜?ロクス。」
「。。。。。。。。(熱い)」
湯煙の向こうから、エスナが手を振っている。ロクスは突如に自分の野望を思い出し、我慢をしながらも、湯に浸かった。。。。所が。。。。
「あれ?エスナとロクス?何やってるんだ?」
ロクスの野望は、又もや脆く崩れ去ったのだった。
「なんでこんな所にいるんだ!!!!」
怒鳴るロクスとは対象的に、ルディは平然と温泉に浸かると、二人の元までやって来る。まったくもって熱さを感じていないようだ。。。流石は王子。
「何んでって此処、王室の別荘だし。」
しれっと言うルディ。
「そうなんですか〜、でも、それじゃあどうしてお客さんとか誘ってるんですか?」
エスナの質問にルディは照れたように頭を掻いた。
「いやぁ〜それがさぁ。。。。。セネカの奴、繁殖期に入っちゃってさぁー。あんまり食べるもんだから、食費がなくなっちゃって、だから兄さんの
アイディアで、夏の間だけこの別荘を解放する事にしたんだ。」
(象に繁殖期なんてないだろう。。。それにレグランス王国。。。。こんな国王を持って不憫な国だな。)
「そうなんですか〜。」
「納得するな!エスナ!」
其処まで言ってロクスははっと気付いた。そう、つまりは、今はロクスだけでなく、ルディまで温泉にいるのだ。このままエスナと一緒にさせる訳にはいかない。自分の事は
すっかり棚に上げているロクスである。
「上がるぞ、エスナ。」
「えっ!?もう上がるんですか?」
「そうだぜ?もう少しのんびりして行きなよ。此処の温泉は、胃腸に良いんだぜ?ロクス、何時もカッカしてるし、治るかもよ?」
(このガキ。。。。。。。)
拳を握り締め、額に青筋を浮かべるロクス。やはりカッカしている。(笑)エスナの腕を掴むと、急いでその場を退散しようとした。。。。が。。。
「えっ!!!!あっ、大変です!!!!ロクス、しっかりして下さい!」
実は何時の間にやら、二人は2時間も温泉にいたらしく、灼熱の温泉に慣れているルディとは違い、ロクスは当然の如くのぼせたのだった。
ルディも加わって更にロクスの前に立ちふさがる壁は更に厚く(熱く)大きくなる。このままで、野望は本当に果たされるのか!?
次回に続く。(爆)
|