第12話:空を見上げる―



 ――――こうして空を見上げると、すごく高いんだなって思う。人があの空の向こうに特別な思いを馳せるのも分かる気がする。
 あの空の向こうに、…人生の終着点があるのだ、と人は思うのだろう…。

 ミカエル様が言っていた『地上を守護している時は迷うだろう』っていう言葉。ホントの意味は分からないけれど、確かにたくさん…いろいろ迷ってる。
 こういう時は思うことにした。―今できることを精一杯やろう―って。だって私はそんなに大きくないから…。

「………! そうだっ!」
 どかっ!
「………ッ」
 衝撃を感じて後頭部をさする。手には冷たい感触。
 髪には雪の…小さい氷の粒がからみついている。
「お前ッ…!」
 後ろにいる人物を思い切り睨む…と、「あ、当たりました〜」と笑う天使。
 しかもまだ手にはいくつか雪玉を持っていて、それを投げるつもりか、とロクスはまた睨みを利かせた。
「……(けど)」
 数日前、祭壇であんな顔をしていたのに。……今でもか。

 帝国の首都より北。万年雪に覆われた大地。
 雪道はそれでなくても歩きにくいのに、雪玉をぶつけられ、気分良い奴が居たら教えて欲しいとロクスは思う。
「エスナッ…」
「ねえ、ロクス!雪合戦しませんか?あのですね、アイリーンに教わったんです」
 少し、目を伏せて。
「…クライヴはこういうの好きじゃなさそうだし、ルディは寒いとこ嫌いなんです」
 手の中の丸を指先で転がしながら、今度は木の幹や手の届くところにある雪をぺたぺたとくっつけていく。どんどん成長する雪玉に「それぶつける気か?」と毒づきながら答えた。
「………じゃあ僕も嫌いだな」
 たまにびっくりするくらい子供の行動を起こす、この天使。

「え〜。…そうですか…じゃあ、私一人でやります」空を見上げて。
「(一人で合戦もないだろうが)」
「アイリーンの……お姉さん…セレニスもこやって…アイリーンと遊んだんでしょうか…?」
 雪玉をぽーんと真上に投げる。
「………」
 間髪いれずに、ばさっと、頭に雪玉が降って来て。
「ねえ、ロクス………あ」
「ん?」

 雪だらけになったまま、微笑んで見せた。何かを言いかけて。
「おい」
 言いかけられるのは嫌いだ。それがわかってか、エスナは勢いに任せて言葉を続けた。
「私が出来る事、探して…。後で後悔はしたくありませんからッ…」
 上出来、とは言えない。

 でも、悲しんでばかりじゃダメだってわかるつもり。今でも胸が苦しいのは変わらないけど。
 これじゃきっとセレニスだって浮かばれない。まあ…これも、都合のいい解釈かもしれないけれど、でもね。ロクス…。
「怖い怖いじゃ駄目だから」
「……。しっかりしすぎてると、こけるぞ。…そんなに器用じゃないんだ」
 ―ホントは別のことを言いかけていたんだろう?
「…だ…大丈夫ですよ!」
 空を見上げたまま、目を閉じて。
 深呼吸して…。
「きゃっ!??」
 何かぶつかった感触。
「や、やりましたね…ロクス」
「隙を見せているからだぞ」
 いよいよ雪だらけになって、苦笑した。




しまった。ここの話の展開で書くものじゃないな…。悲しんでばかりだと進まないっていう気持ちです…。
悲しさは抜けてません。
雪合戦っていうのはやはりアイリーンのイベントからですね。
やっぱりロクスはセレニスのこと許せないのかなあ…。まあそこまで聖人がいたら怖いですよね。
しかし、エスナの独り言で終わってる気がします…。よく付き合ってますロクス…お人好しです。
あまり気に入ってません…。消すかも…。ううっ、なんだか言いたいことが言えない。

…表(タイトルが書いてある表)がうまく使えなくて、短いタイトルの小説が欲しかったっていうのもあり(おい)。


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