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ちょぎさに

2025バレンタイン
ログインボイスが二回連続長義だったり、ちよこ大作戦のパネルが着たりしたので慌てて落書き。
一昨年のからちょっと続く感じに話を適当に書き始めてみる。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ―――なんだかわからないけど、甘いお菓子が食べられる日! イェイ!――――

「…誰、これ書いたの」
「は? …あぁ、筆跡と内容から見れば乱だな。しかし、「なんだかわからない」とは失礼なものだね」
「まー…海外の言い伝えなんて日本刀の男士にはあまり関係ないもんねぇ。というか現世だって似たようなもんだよ。よくわかんないけどチョコ売ってるもん」


 廊下の日めくりカレンダーにはかわいらしく踊ったような文字。
 世間ではバレンタインとされている日だ。


「お菓子会社の策略、でしょ?」
「はは、前にも言ったな」


 「この日辺りはすごい売り上げるらしいよー」などと話しながら廊下を歩く。
 そうして長義の部屋―――近侍の部屋に戻ってくると障子をすっと開けた。


「あ、今年はやめとくよ。だってまた指ごと食べられちゃうしー?」
「菓子は不要だが。 あぁ…、指以外も食べて欲しいという遠回しなお願いか?」
 パタン、と障子を閉め。
 「あぁ」とわざとらしく声を上げて。
「! …そ、その手には引っかからないから」
「おや、どの手だ?」

 長義はくっくと喉で笑いながら、今は背を向けている審神者の頬を後ろからそっと撫で上げた。
「へぇ?…その手には引っかからない割には、茹蛸だな」
 振り向かない顔だが耳が見える。それに、指に伝わる熱。
「…体温も相当上がっているようだけど」
「んー…ああもう!」
 声を上げたと同時に振り向いて、
 真後ろにある長義の肩に額を押し付けて腕をその身体に回す。

「…何かな」
「何かな、じゃないよ…」
「はは。…まぁ意地悪をすることはないか。――――…あぁ、はいはい」
「もういいや、長義を照れさせたいとか、なんか手の内で転がされてるような気がするのも」
「なんだ、今更か? それにしてもいまだに俺の言葉一つでそこまで感情が動くとはね。…慣れというモノがないのかな。まぁ俺はどちらでも構わないが」
 回された腕はそのままに、ゆっくりと力をかけ、畳に腰を下ろさせ。

「…やっぱり甘いやつ、用意した方が良かったかなぁ…」
「だから不要だと言ったよ。君がここ最近本丸の外に出られなかったのも知っている。俺も君が言うようにこの今の時間さえあればね。こちらの方が甘そうだ」
 漸く肩から額を離した審神者と目線を合わせ。
「それに、元々はこういった日ではないのだろう?共に在ることが重要ならば――――、どう過ごそうと俺たちの自由だ」
「………。あの、ね」
「?」

 長義の内番着の上着をきゅ、と掴んで。
「ごめん、…別に、指ごと食べられたとかそれが嫌だったわけじゃなくてね…。む、むしろ、私は―――… いやいや!! そうじゃなくて」
「……」
 苦笑しながらその手に手を重ねて、先を促すように。
「あー……。あの、…お菓子を渡す、とか、…そういう「当たり前」みたいなのじゃなくて。…長義が食べたいものとか欲しいものとか…過ごす時間とかみたいな」
「へぇ? ……甘い菓子、ではなく君自体を頂ける、という事か」
「! すごい飛躍ー…」
「だが、…今更だな」
「まぁ、そうなんだけどね。一緒に居たいのはいつも同じだし」
「…と言う事は、期待して良い、と? ははっ…」
 重ねた手、その指に己の指を通して。
「俺とて、第三者に乗せられた菓子より―――――と思っていたけれどねぇ」
「?」

 絡まった指にいつの間にやら何かを握らされていた。
 それはレースと模った紙で出来た小さな包み。

「あ、箱? 開けてもいいの?」
「どうぞ」
 かさり、小さな音を立てて顔を出したのは黒い粒。
 それに小さな青い石のような物で飾られている。


「え、私に?」
「あぁ、どうぞ。…昨日、政府施設の帰りに万屋街を通ったんだが、そこで引っ張られてね」
 昨日は審神者が本丸から出る時間がなく、長義が代理で政府施設に出向いていたのだった。
「わ、ありがとう…! 宝石みたいだけど食べられるんだこれ」
「……。期待を裏切らないな君は」
「だってチョコだよね?」
「…ああ、今回は一粒、しかないが?」
 黒いチョコレートに乗った青い石―――のような砂糖細工。それから長義の青い瞳に目線を渡して。
「んーすごく甘そうだから、…多分一粒でも十分、かも」
 口にしたら恥ずかしくなったのか、顔が熱い。

「いつまでも手で持っていたら溶けてしまうな」
「う、うん」
 長義は「お好きにどうぞ」と言わんばかりに審神者に緩く腕を回したまま、その顔を伺っていた。
「(でもこれ、綺麗だからちょっと飾っておきたいかも)」
「―――飾る、なんて言うなよ?一度手にしたんだ、この寒い気候とて長くは持たない」
「う…。なんでわかったの」
「おや、本当にそう思っていたのか?」



「さ、どうぞ?他者に乗せられて菓子を口するのは…まぁ面白くはないが。貴女が食べさせてくれるのならば話は別だ。手の体温で溶かしてしまうより、きちんと楽しんでやらなければ」
 続けて、「一粒でも十分」とはそういう意味だろう?と耳打ちして。
「(………そりゃ、私だって…そう、したい、けど)」
 うまくできるだろうかなんて思っていても、この目の前の刀剣男士は――――私の旦那様は、「そんなことは気にしなくても良い」というだろう。
「……ん」
 口に含み、そのまま流れて行かないように歯と舌で止め。
「! (これ、めっちゃおいしいんだけど…!)」
「……へぇ、そんなにうまいのか、それはそれは」
 楽しそうに笑う、長義の肩、後頭部に腕を回して。

 いっぱいに広がる甘さと、ほろ苦さと。
 耳に必要以上に届く絡む水音に体温以上に温かく熱く感じる。身の内からかあっと体温が上がって、くらくらとのぼせて。
 何がどうなのかわからないけれども、視界がじわりと滲んできた。

「ん    …ちょ    ぎ……っ」

 ただ、舌でチョコレートを押しただけなのに、絡め取られ。
 後頭部に廻る腕が、指先が。ぐ、と力を増したのを良い事に長義は審神者に回している腕を少し強くした。



「っ ―――――ん ……なるほど、確かにいい味だ」


 漸く離れ、息をつく。
 刀剣男士、という人のような身体を手に入れてから数えきれない程何度も食物を口にしているが、こんなにも甘くそして心地良さまでを感じるものはそうそうないだろう。
 
 審神者の体温で半分溶けたチョコレートは、口の中…長義の体温で完全に溶けて喉から下へと流れていく。
 目を閉じて、最後まで味わうように。


「まぁ、甘い菓子もたまには悪くない」
「…ん、…私 も…」
「おや?それはそれは。 ……貴女がこうしてくれるのなら、ねぇ。…いくらでも頂こうか」
「長義…。……また、…来年も こうやって できたらな、って…」
 余韻が残る口の中。
 全神経が集まったかのように舌の感覚を思い出して顔が真っ赤になる。
 途切れ途切れに言ったその言葉に長義は満足そうに口元に笑みをたたえた。
「…なんだ?…年に一度か?」
 「別に年に一度じゃなくても」と言おうとして失敗する。
 目の前の顔があまりにも楽しそうで。
「でも、楽しみは増える…?」

 唇に残った甘い部分を舐め取り、名を口にして。
「…あぁ、楽しみにしておくとしようか」


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まぁ甘いだけだけどいいじゃないか(笑)。



ぬースト本丸近侍の部屋。





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