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診断メーカーで
「キスをしないと出られない部屋に閉じ込められる」と出てきまして。

長義の薄ら笑いで呆れるというか怒るみたいな、そういうの好き。


落書きと書きながら考える小説を(笑)。


―――――――――――――――――――――
 廊下を歩く二人分の足音。
 1つは落ち着いた歩き方。もう1つは立ち止まり、それから追いかけるように小走りになり、という歩き方。

「あるじさーん、こっち終わったよー」
「ありがとーあと好きなことしてていいよ」
「はーい」

 立ち止まっていたのは男士に話しかけられたからだ。手を振りながら廊下を歩く。
 審神者部屋にたどり着くと障子を開けた。


「……? これは」

「どうしたの、長義」
「……」
 何か違和感がある。長義は柱、鴨居から天井へ目線を動かす。
「主、他の男士を部屋に入れたのか?」
「え?」

 長義が視線を戻した時、審神者の手には紙切れがあった。

 「主へ」

 そう表に書かれた二つ折りの―――。
「! 待て、主!!」


 光の様な煙のような何か白いものに部屋全体が包まれた。
 視界が真っ白になる。

 長義は手を伸ばし、審神者を己の胸に抱きしめ―――――。






「?」
「…なんだ…」

「すっごい真っ白空間。豆腐建築も真っ青だね」
「豆腐……。ああ、白い、か…。妙な例えをするな君は」
 妙な気配も殺気もしない。そして審神者の様子が思いのほか落ち着いているので警戒しながらも腕を解く。
 あの白い煙に飲まれる前、審神者をかばいながらもとっさに刀を取っておいて良かったと胸をなでおろした。
「主、俺の傍から離れるなよ」
「うん」
 長義は服を掴ませるとぐるりと見渡した。
 真っ白過ぎてこの空間の大きさが測れない。
「…ええと、それでこの豆腐建築は私に何の用なんだろ」
「……。 そうだ、その紙」
「ああ、これ」
 まだ手にあったそれを長義に渡す。




 ――――主へ

 いや!驚いたか?きみが驚く顔が目に浮かぶようだぜ!
 多分長義もいるよな!?よしよし!



「鶴丸か…!何がよしよし、なのかな…ッ」
「あー…とりあえず時間遡行軍とかじゃなくて良かったね…」




 ―――――こいつぁ驚くぜ?鶴さん頑張っちゃったぜ!

 なんて言っても「口づけしないと出られない部屋」だ!!!じゃーん、驚くだろ!?
 じゃ!健闘を祈る!!




「…ぶった斬る…」
 先日、「落とし穴は主が落ちたら怪我をするからやめろ!」と強く言ったからだろうか。
「はぁっ。迷惑な話だね…」
「あのさ、もし、手紙見たのが私一人だったらどうするつもりだったんだろ」
「…まぁ、それはないと踏んでいるのだろう。それか二人以上で発動する罠、かな。 全くなんなのかな…ッ」
「……あー。 ええ、と。 どう、する?」
 盛大にため息をつき、額に手を当てている長義に審神者はおずおずと聞いた。
「………」

 ずい、と長義は鼻先ギリギリまで顔を近づける。
「ッ…」
「……はぁっ」


 ――――正直、この二人にとっては難しい課題ではない。

 だが。


「…強制されるのは好きじゃない」
「…長義…」
「鶴丸に乗るのも気分が悪い。――――…それに何より…俺は君をこんな扱いはしたくないんでね」
 目線を「手紙」に落とし、声を落とす。
「遊びでするものでも誰かに強制されてするものでもない、という言う話だ」
「長義………。あは」
「何を笑っている?」
「…なんか嬉しい」
「はいはい。―――よし決まったな。なら、他の脱出手段を探すぞ。最終手段は保留だ」
 ばさり、審神者に何か黒い布を掛けた。長義の内番着だ。
「?」
「冷えるかもしれないからね。それ、羽織っていて」



「ところで、…ね、これって鶴丸の神域?」
「うん?…違うね。もし鶴丸の神域なら俺が入れないし、それに鶴丸は君の真名を知らない。ただの結界のようなものだろう」
 何かを掬うように手を空間に伸ばす。気を集中させるといつもの審神者部屋の気配が少しだけ残っている。
「ああ、やはりな。 どこかに飛ばされたわけではないよ。神域はもっと―――まぁ、今はそれはいい。とにかく結界が破れれば直ぐにいつもの部屋だよ」
「へー…」

 刀を取り、鞘のまま空間の大きさを測るように数歩歩く。
「……ぶつかった。 やはり部屋のままだよ。大きさが変わらない」
「じゃあこの辺机なのかな」
「かもね。だが俺から離れるなよ。――――! ああ、主」
 何かを思い出したかのように、声を上げ。

「あ―― って少し長めに声を上げて」
「? う、うん」







「なーんだ。しっかし時間がかかったところを見ると、本当に破ったんだな」

「あー、鶴丸ー!!もー驚いたじゃん!」
「よ、主。驚いてくれたなら鶴さん、頑張った甲斐があったな」
 いつもの部屋の障子を開けると、縁側に鶴丸が胡坐をかいていた。
 茶をすすり、それから膝をぽん、と叩き。
「ちぇ、流石、政府刀の長義だな。札がなくとも突破できるなんてな!」
「全く、貴方は何をしているんだ。……手合わせで白黒つけるか?俺はそちらの方がいいのだけど?」
「お、それもいいけどな! でもいい余興だっただろ?最近の長義は不意打ちがきかなくなってきたからな!こいつぁ困ったと新しい驚きを入荷してきた!ってわけだ!」
「そういう問題ではない…」
 額に手を当て、また、息をつく。
「もう、鶴丸!あんな豆腐空間」
「ははは!豆腐か!!いいな! ま!たまにはいいだろ!? ―――でもどうやって破ったんだ?」
「……簡単だよ。 一定の高さで声を上げさせて、空気がブレる場所を斬っただけだ」
「ブレる?」
「ああ、結界は必ず繋ぎ目があるんだ。円形に張る方法もあるけれど、時間がかかる。…つまり、主がいない短時間を狙って作ったような結界なんてアラが出て当然だ」
「ほぅ。 流石だなぁ」
「それに、主の近くに男士がいれば神気が通りやすくなるからね。貴方は主が顕現させた刀だ。霊力があっているから探しやすい」
「へえ!ま、楽しかったろ?」
 ふわりと立ち上がると「次は何するかな!」と鶴丸は高笑いをしながら鳥のように去って行った。



「………あー…」
「……全く」
 これ以上怒る気もなくした長義は審神者の手を取ると、審神者部屋の障子に手をかけ、部屋に連れ込む。

「長義?」
「……――――ま、…最初は焦ったが…。ただの悪戯で良かったよ」
「私も驚いたー。…でも長義で良かった、一緒に居たの」
「……ああ」
 ほぼ目線、だ。
 互いの視線が交わり、少し驚いて目を下げた栗色の瞳を逃さないように長義は頬に手を当てた。
「!」


「……―――主」
 互いに腕を回し、二人の隙間を埋める。
「…長 義…」
 銀色の髪と黒色の髪が混ざり溶けあうように。





鶴丸の悪戯でした。

〇〇しないと出られない部屋って実際どういう事だよ、って思ってたけど鶴丸ならできそうだ。

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そして鶴丸の悪戯二回目