散歩道 「ちょ、ちょっとまってください・・・」 「なんだ?もうつかれたのか?」 少し後ろからついてきているはずの元天使をロクスは振り返った。 まだ、翼を捨てて間もない元天使には、すべて自分の足で動くという体験は、思ったよりもハードだったらしい。 元から、そんなに翼を使っていたようにも思っていなかったが、やはりあるのとないのとでは話が違う。 「つ、つかれたわけじゃ・・・」 そう言って、少し距離があいてしまったのを埋めようと、エスナは小走りに走った。 「走ると・・・ほらな」 2、3歩で、足がからまってこけてしまったエスナに、手をかして立たせて服についた砂をはらってやる。 ちょっとした体のバランスのとりかたも、翼があったころと違うのだろうか。 よく、こうやってこけるのを見る。 「大丈夫か?」 見ただけで大丈夫だとわかるが、そう聞くと照れたように笑ってエスナはうなずいた。 「大丈夫です」 自分でも砂を払いながら、そう言う。 「つかれてるんだったら、教会でおとなしくしていればよかったんだ」 「疲れてるわけじゃありません!」 ロクスの言葉にむきになって、そう言い返す。 元はといえば、散歩にさそったのは自分だったのだが、こうも何回もこけられれば、心配にもなってくる。 それでなくても、天使から、人になるとは自分には想像もつかないことをして、彼女はここにいるのだから。 「それに・・・こうやって自分の足で歩くのは、気持ちいいですから」 真っ青な空を見上げて、そう言う。 エスナの髪が、その動作にあわせて、緩やかに動く。 思わず、それに見とれてしまう。 風も、彼女を通り過ぎて。 世界も、なにも関係なくここにいる彼女。 ただ、そばにいてほしかった。 気持ちよさそうに空を見上げているエスナの手を引いて、ロクスは再び歩きだした。 「ロクス?」 「こうしてないと、君がまたこけるだろ?」 「むー、そんなにこけません!」 「どうだか」 むくれていた、エスナもすぐにいつもの調子で歩きだす。 「ロクスと、本当の意味で一緒の視線で歩けてうれしいです!だからかな・・・すっごく気持ちいのは」 無邪気に、まるで、自分の気持ちを代弁しているかのようなことを言う。 そう思っているのは、自分だと思っていたけど。 「僕の視線はそんなに低くないぞ」 「そういうこと、言ってるんじゃなくて・・・きゃ」 急に、エスナを抱き上げて、ロクスは言った。 「これくらいだ、僕の視線の高さは」 さやさんからいただきました〜!! うわ〜こけてる!エスナっぽい〜! 「疲れてるのなら、教会で〜」ってちょっとつきはなすとことか。らしい!! 「ホントの意味で一緒の視線で歩けてうれしいです」っていうのが好きです!『そばにいてほしかった』とか!ああ〜。 幸せ〜! 今、私がさやさんの小説のマンガ描いてるんですよ。それに負けずと送ってくれたらしいです(爆笑)。 私も負けないぞ。 |