『桜咲く場所』 「雪が見たいぃー?」 これでもかというくらい、不機嫌な声をだされて、エスナは首をすくめた。 「君のこれは、かざりか?」 頭をぽんぽんとたたかれるし。 「うー、違います!」 同行中、ちらっとそんなことをつぶやいただけなのに。 最近、帝国のほうで事件は起こっていない。もちろんそれはいいことなんだけど。 大好きな雪を見ていないなぁって思ってそうつぶやいただけなのに。 不機嫌度、マックスの今のロクスにかっこうのえさを与えてしまったらしい。 「じゃあ、帽子置きか?それともなにか?また目的地変更か?」 「ち、違います!レグランスに向かってください!」 そもそも、最初は目的地が変わったとこが原因だった。 他の勇者のほうが目的の事件に近かったのだが、その勇者は他の事件を担当中。 そこで、次に近くにいたロクスになんとか頼んで向かってもらっていたものの、その勇者の事件はけっこう早く解決。しかも、そのままその事件にも向かってくれた。 ちょうど、その時期にレグランスで、事件発生。 レグランス担当の勇者よりもロクスのほうが近かったため、そのまま向かってもらおうとしたのだが。 「ちょっと言ってみただけです。見たいなぁって・・・本当に見に行きましょうって言ったわけじゃ・・・」 一生懸命言い訳をするエスナが、なにか楽しくて、ロクスは今までの機嫌の悪さが、どこかへ飛んでいくようだった。 「それに、ロクスには悪いと思ってます」 おもしろいから、しばらくほっておこう。 笑いをこらえるために、下をむいたロクスをますます機嫌が悪くなったものだとエスナは、さらにあわてた。 「あ、あの!私にできることがあったらやりますからっ!それに、それに・・・!」 「それに?」 「だから、それに・・・ロクス?」 ようやく、ロクスが笑っていることに気が付いて、エスナはほっとしたような。 「もう!びっくりするじゃないですか?!」 ぽんぽんと、自分の背中をたたく、天使に笑いながらロクスは言った。 「君が悪いんだろう?だけど、仕方ないから雪を見につれていってやるよ」 「ええ?!いいですよ!それよりも、レグランスにむかってくださいー!」 あわてて、そう言ったエスナを黙らせて、余裕たっぷりにロクスは言った。 「たいして寄り道にはならないさ。いいから、黙ってついてくるんだな」 「・・・雪だ」 つぶやくように言ったエスナの反応に、ロクスは満足げにした。 「雪みたいです!ロクス、見てください!」 「見えてるよ、わざわざそんなにひっぱらなくても」 手をひっぱってロクスを桜の花の下に連れていくエスナに苦笑いをする。 まさか、アルカヤにきて二年目になるというのに、桜くらいでこんなに喜ぶとは思ってもみなかった。 「気がつかなかった!こんなに雪みたいだったんですね!」 そう言って、桜の花びらと、同じようにエスナも舞う。 まぶしそうにそれを、見ていたけれどふいに消えてしまいそうに感じて。 「・・・ロクス?」 急に、自分を背中から抱きしめたその人の名前を呼ぶ。 小さな自分は、その人の腕の中、すっぽりとおさまってしまう。 エスナの髪についた桜の花びらを指で、取り除き腕の中から解放する。 「そのうち、桜に埋もれるぞ」 照れた顔を見られないように、ぽんぽんと頭をたたいて下を向かせた。 「エスナ?」 そのまましゃがんで、桜の花びらを両手いっぱいにつかんで、舞い上げる。 ひらひらと、それは二人の上に落ちてきた。同じように。 「これで、ロクスも一緒です」 笑った彼女は、確かにそこにいて。 消えそうだなんて、感じなくて。 もちろん、桜になんか、埋もれさせなかった。 |
ふっふっふ〜。うらやましいだろう。さやさんからイラストのお礼で貰ってしまったぞ!! ったああ!!エスナがかわいいです。ほう、自キャラとは思えないくらい。照れるロクスもかわいすぎ!! 私の書くエスナがさやさんの書くエスナに感化されてきてます。しかもさやさんのロクスはエスナ専用だとか(笑)。 桜、好きです。私の住んでるところの公園の桜がめちゃキレイで、夜桜とか絶対見に行きます。これを夜桜バージョンでやったらおとなしくなるのかな??ってなくらい桜っていろんな顔を見せますよね〜(謎)。 雪=桜がステキですね。時期的にも♪ でもゲーム中、ありますよね〜任務変更場所移動。 BACK |