『お休みの日』


 ――本当に不器用だと思う。

 そう思いながら目をやった先には、横だけ長い髪を束ねている少女がいる。先ほどからリボンを結ぼうとして、たて結びになってしまってやりなおして…を繰り返している。


「……………」
 やらなくてもいいのにと思ってしまう。邪魔になるような髪形でもないのだし。

 彼――ロクスは窓辺によりかかって、鏡と相変わらずにらめっこしている元天使を眺めていた。
「ん…できたっ」
 ようやく結び終わったリボン。わりとうまく出来たと思わず笑顔。

「できました♪」
 くるりと振り向いて。
「随分時間かかったな」
 …と、寄りかかっていた壁から離れ、懐中時計を取り出した。
「…20分。エスナにしては早いほうなのか?」
「えっ!?」 
 ぱっと顔を明るくして、ロクスに駆け寄り、その懐中時計を奪った。
「20分〜」
「……………(は、早いのか、それ…)」
 しかも嫌味も通じない。
「でも、時間計ってるなんて、ロクス暇なんですね〜」
「………暇なのは君だろ」

 副教皇から休みの許可が下りたはいいが、とくにやることもない。
「ん〜、何しましょうか。ロクスは今日お休みなんですよね」
 そう聞きながら首をかしげている。
「僕は…」
 と、エスナを後ろから羽交い絞めにして。
「っ!!何するんですかッ…」
「君が『何しようか』なんて言うからだろ?」
「バ…バカなこと言ってないで放してくださいっ!」
 あまりにじたばたするので、羽交い絞めにしていた腕を、前に持ってきて抱きしめる。

「逃げられるか…?」
「ん、…もう、意地悪ですよ…っ…」
「逃げる気はないんだな?」
 にやりと笑って、同時に、服の合わせと髪に手を伸ばして。
「だ…ダメですよ!ロクス!!こ、こらっ…」
 指の間を髪が心地よく指をすりぬける。横の長い部分は青くて細いリボンに束ねられている。確かに今回はうまく結べている。

 ――はらり。

「あ…ああー!」
「………………」
「ほ、解けちゃいました…もう、ロクスッ!」
 髪に巻きついていたリボンは簡単に解けて二人の間に落ちた。ロクスは笑いを堪えている。
「抗議されても僕は触っただけだぞ。しばった意味ないじゃないか」
「む〜…も、いいですッ」
 ロクスの手を解いて、落ちたリボンを拾う。
「………」
 顔を真っ赤にしてうつむく。両の手を頬に当てて。

「エスナ」
 ロクスはまたエスナの髪に触れると、銀の髪留めの筒(の様なもの)を取り出して、ぱちんと止めてやった。
「それなら不器用な君でも出来るだろ」
「……これ、くれるんですか?」

 その笑顔が嬉しくて。
 天使の…任務のときとは違う笑顔を自分だけに向けてくれる。
「ロクス」
 髪留めを嬉しそうに眺めていた視線はロクスに移動して。
「ありがとう」

 そんなに喜ばれても困る。

「…ロクス。私、お願いがあるんです」
「ん?」

 こいつが言うお願いなんてたかが知れているが。

「……紐の結びかた、教えてください…たて結びにならないやり方…」

「………………」
 普通は、逆じゃないか?(男が聞くことなんてないけど)
「だって、天界のお友達とは離れちゃうし、アイリーンとかセシアとかレイラのとこは遠くていけないし…」
「……別に、いいけどな」

 もっと普通のお願いは出来ないのか。

「それにですね」
 と、ロクスを見上げて。
「服の、紐…結んであげたいです」
 エスナが言ってる紐…とは服の飾り部分のことか。
「……いい、なんだか絞め殺されそうだから。教会でそんなの着る機会なんてそうそうないしな」
「む……」
「じゃあ、エスナの服で試してみるか?」
 ワンピースのリボンに手をかけて。
「………バ…バカっ!!」

 笑って頭をくしゃくしゃやって、笑う。
「しかし」
 こんなに不器用でいいのか、と。




っだああ!!こういうのは苦手だ!!止めときゃよかった。ムカツク(謎)
何が言いたいのだろう、自分。仲良いなあ…。ホント。誰だかわかんないくらい。っていうか、誰!?
最近、シリアスばっかやってたのでギャグができない…。
ロクスすごいです。何処からともなく髪飾りを出す。…ドラ○もん?(おい)
羽交い絞め案はきいちゃんのメールから(使うなよ)。

でもラブラブって難しいです…書けません。

BACK