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こちらはかなり前にさやさんから頂いた小説を元にしてマンガにしてみたものです。原作↓
話の時間軸としては、ロクスのED後。天使がロクスの元に残った、という設定。
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未来の約束 明るい陽射しがまぶしい。 こうしてのんびりと外を歩くこともひさしぶりだった。 以前の自分だったら、こんなにおしこめられ、仕事を押し付けられたならばすぐに逃げていただろうが、今はそうはいかなかった。 副教皇に加え、口うるさいのが一人増えたから。 それを心地よく感じる自分に少し笑いながらすごす毎日がすぎていく。 混乱の中にも復興のきざしのみえはじめた世界。 口うるさい人物の一人の副教皇から今日一日くらいの骨休めの許可が下り、もう一人の口うるさい人物をつれてどこへ行くともなしに歩いていた。 あいかわらず、わからない言葉で歌を口ずさみながらきょろきょろとあたりを見て歩く。 ロクスはそんな彼女を斜め下に見ながら歩いているとふと、すれ違った親子に目線が止まる。 両親にそれぞれの手をひかれ、時々ぶらさがりながら歩いている少年。 無邪気に笑っているその命を救ったのだと、こういうときに実感する。 しばらくその親子を目でおっていると、ふと右手にぬくもりを感じた。 「なんだ?エスナ」 突然手をつなぎだした彼女にそう聞く。 何も言わずに笑っただけでそのまま歩きだし、歌の続きを口ずさむ。 「変なやつだな」 いつも自分からこういった行動をとらないだけに、首をかしげてしまう。 迷子になるとでも思ったのか。 「いい天気ですね〜」 ようやく歌がくぎりのいいところまで歌ったときには街をぬけ、小さな丘まで歩いてきていた。 ここから聖都が見える。 両親にここにあずけられてから、なんやかんやいってもずっとここで育ってきた。 寝転がると、アルカヤが温かく自分を包み込む。 となりにエスナも腰をおろす気配がして優しく風がゆれる。 「ったく、君も副教皇も人使いが荒すぎるぞ。僕を過労死させる気か?」 のんびりと空をながめながらそう言うと困ったような声が隣でする。 「仕方ないですよ、まだまだ立ち直ったとはいえ、人々が教会に求めているものは多いのですから」 「だからって僕をこきつかう理由にはなってないぞ」 「う〜、それはですね、ロクスしかできないことがたくさんあるからです」 のんびりとした声で答えられる。 ロクスは少し笑って隣で手をついて座って空をみあげているエスナを見た。 「僕にしかできないことと言ったら・・・」 急にぐっとエスナの手を自分のほうにひきよせる。 「きゃっ?!」 突然のことで抵抗もできず、エスナがロクスの上にかぶさるようにのる。 しっかりと腕をエスナの背中にまわした。 「こうして君を抱くことくらいだ」 「な、なに言ってるんですか?!ちょ、ちょっとロクス!」 「はなせ、と言われても無理だぞ」 「も〜!なんでですか!?」 あわてるエスナをしっかり抱きしめる。 「あたたかいな・・・」 「まったくもう・・・」 暴れてもかなわないことを認め、文句を言いながらもエスナは瞳をとじてロクスの胸に自分の頬をあてた。 「まるで・・・アルカヤだな」 背中の地面を温かく感じるように腕の中の少女を温かく感じる。 記憶に残らないくらい遠く感じた両親のぬくもりも、こんなだっただろうか。 「ロクスもあったかいです。アルカヤみたいに・・・」 心地よくエスナの声が耳に届く。 「ロクス・・・。さっきの親子みたいになりましょうね?」 「?」 とっさにエスナがなんのことを言っているかわからなかった。 「私、子供のそばにいてあげたいです。・・・必要なんだって。親子って意味、見つけましょうね・・・」 ああ、そうか。 だから手をにぎってきたのか。 いつか話した自分の事。 両親と離れて暮らした偽善にあふれた教会。 いつかつぶやいていた君のこと。 冷たい天界の宮殿。 それらの中からでも大切なものは、いくつもでてきた。 その中で君を見つけたから。 「エスナ・・・」 少し背中にまわした手に力をこめて。 「それはプロポーズか?」 「!?ち、違います!!」 温かい風が吹きぬける。祝福とはきっとこういうことをいうのだろう。 「故郷、見つけたんです。私」 「?どこだ?」 「ロクスです。ロクスのいる場所が私の故郷です!」 「・・・バカだな、君は。そういうのは故郷って言わないんだ」 「む〜、そうなんですか?でも決めたんです!私の故郷。私の居場所です!」 さやさんから、私のつたないイラストのお礼にいただいてしまいました。 もう、これを初めて読んだとき、泣けてきました〜。エスナがロクスの手握ったとことか、最後の「私の故郷です」とか ロクスがエスナ引き寄せるとことか(笑)〜〜〜全部。 私に出来ない優しい小説ですね、ホントに嬉しいです! 「アルカヤみたいだ」ってすごくいいと思いませんか? しかも口うるさくてプロポーズもどきをしてしまうエスナがいいです。また歌うたってるし。祝福だし。 |