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バレンタインです。
で、これだけだと意味不明なので話を書いてみた。
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| 障子を通して柔らかい光が微かに降りてくる。 それとともに鳥の高い声、風の音。 「ん……あぁ…」 気だるそうに銀色の長い前髪をかき上げ、半身を起こそうとしたが。 「(…まだ早い、か)」 壁の時計を見、いつもより少し早い事を彼、山姥切長義は知る。 目線を落とせばいまだ夢の中。起きる気配など全くなく隣で寝息を立てたままのこの本丸の主。審神者であり、この山姥切長義の妻。その髪を、そ、と撫でた。 「さて…」 長義はこのまま身を横たえる気にもなれず、審神者を起こさぬように布団から出ると朝の準備を始め、それから布団脇の文机についた。 「ぅ……」 手を伸ばさずとも、いつもなら温かさに包まれる筈だ。 「(あれ…)」 目を開けても目の前には布団の布しか見えず。 「…?」 目の前の布団を退けて漸く見えたのは長義の背だった。 「…あ、起きてた…長義」 「あぁ、おはよう、主。 早いな。………どうした」 背にぬくもりと重さを感じて、長義は首を後ろに回す。それから腹に廻ってきた腕。長義は身体をそちらに向け、自らの膝の間に導き、手に指を絡めてやる。 少しの静寂の後。長義の手と体温が混ざった頃。 「…うんん…。一瞬、長義いないかと思って」 「なんだ、それは」 そこまで言って、あぁ…と長義は息をついた。それは昨晩を思い出しての事だった。 休む前に話していた事と恐らく繋がったのだろう。 「…全く、朝からなんて顔をしているんだ」 指を解き、乱れた髪を指で梳いてやって。 「あー、もう…やだなぁ。寝る前にバレンタインの話なんてしたからだよね」 「そうだな。 菓子の話だけしていればいいものを」 また腕を回してきた審神者を受け入れて、その背を撫でた。 「…だが、まぁ。……いい」 「長義…。なんか悪いね…。変な話に付き合って」 「別に。今更かな」 昨晩、そろそろバレンタインだねと話した。 菓子を買いに行こうやら、なにやらと。 それから――― 「戦の話なんてしなきゃよかったよね」 「まぁそうだな、確かに俺たちに身近な話ではあるが。…休む前に話すべきことではなかったな」 長義は息をつきながらぴしゃりと「ない」と口にし、それから少し腕を強めて髪に顔を埋めた。 「…ちょう、ぎ?」 「……冷えている。もう一度布団に戻る気はないのなら、少しこうしていてやろうか」 「もし、さ」 暫くの静寂の後、ぽつりと。 「うん?」 「バレンタインの話の元の時代の人が、…こんな風に最後かもしれない時間を過ごして、結婚式して。…男の人は戦争に行ってさ」 「……」 「…―――無事に戻ってきたら、バレンタインさんにめっちゃ笑って報告に行くんだろうね」 「! へぇ…。そう言う話か。あぁ、ならば俺たちもその御仁へ報告してやらねば」 暗い話になるのだろうと想像していた長義は、思いのほか話が変わったことに苦笑し、そして、朝の空気を濁さないようにしている審神者―――自分の妻の話に話を合わせてやる。 「そっかぁ、チョコ食べたからそう言う事にもなったりするのかぁ」 笑って肩が揺れる。 強張っていた身体が解ける感覚が伝わり、もう一度背を撫でた。 「菓子の話は当時にはないだろう。それとも、また口移しでもらいたいのか?…―――そら、主。このままでは本当に冷えるぞ。こうしていても限界がある。そんなに俺にくっついていたいのなら着替えてからにしろ」 「…む、意地悪ー。まだちょっと早いんだから朝の時間くらいいじゃないー……」 「はいはい。 だから、くっつくな、とは言っていないだろう?全く」 「……」 不満げに零しながらも、審神者は素直に長義の腕から離れ、ぷ、と膨れながら掛けてあるブラウスを手にした。 その背中を見送りながら、俺は文机の上に広げていた書付をゆっくりと閉じる。 ――――バレンタインの起源。愛する者たちのために禁じられた結婚式を執り行い、散っていった聖人の話だ。 戦場に駆り出される男たちと、彼らを待つ女たちの祈り。 ある者は再度、愛する者を腕に抱くことが叶い、またある者はそのまま戦場に散った。 そんな昨晩の会話が、まだ少しだけこの部屋の空気を切なく揺らしている。 「……。何を呆けているんだ。 俺を待たせるつもりか?」 着替えを終え、なんとなく所在なげに立っている審神者を声で呼び、先程離れるように促したばかりなのに再度、膝の間へと招き入れた。 羽織った白色のカーディガンの上から、包み込むように腕を回す。 「あったかい…」 「……当然かな。あぁ、俺は君の「旦那様」だからね。冷えた体温を戻すくらい、…容易いことだ」 あぁ、と声を上げ。 「なにそれ…ふふ」 背中から伝わる心音。規則正しいそのリズムを聴いていると、先程の悲恋の話がどこか遠い異国の「お伽噺」のように感じられる。だが、「作り物の話」ではない。 彼らは戻れなかった。それが歴史の一頁になり、今まで流れて来た。そしてその悲しい歴史さえ、誰が願おうと寸分違わず守るために、今、刀剣男士たちは存在している。 歴史の影に消えていった無数の「最期」の上に、「今」がある。それは何処の国でも。 長義はいつものように審神者の髪を梳きながら、ふ、と息をついた。 「ね、長義。もしそのバレンタインさんに報告に行くならさ?……なんて言う?」 長義の髪を梳く手が止まり、いつものように最後に頭の上から毛先までするりと指を滑らせたのを合図に、審神者は長義の肩に頭を預け、ふわりと笑って問いかけた。 長義はつげ櫛を油布で拭い、机にある小さな白い引き出しに仕舞いながら、その問いに答える。 「聖ウァレンティヌス…。先程の話の続きか。 あぁそうだな。……「貴公の守った愛の形は、時代も国も超え、一振りの刀にまで宿っている。貴方は驚くだろうが、俺は刀だ」とでも言おうか?」 「驚いちゃうねそんなの!なんで刀が人になって来てんの、って思うよ! あーでも、長義の姿見たら「それもアリか」とか思うのかな?なんて言ったって愛を見て来た聖人さんだもんね。日本には物に命が宿るーみたいな考えあるよーとか、付喪神とか教えちゃうよね…?」 可笑しそうに肩を揺らした。 「…八百万の神。日本の文化を教える機会だろう。その程度の歴史介入は…まぁ、彼の心の物語としてのみ残る程度だろうね」 「あー…じゃあ、秘密で、って言っとこう。 ふふ、長義、他に何喋る?」 長義は審神者の耳元に唇を寄せ、重厚な愛着を込めて囁く。 「うん?…あぁでは、こう付け加えようか。「妻は世界で一番俺については強欲で、俺を慈しみ独占して離さない。この山姥切長義と言う刀剣男士にとっては最高の鞘だ」とかねぇ…?」 「あはは、やだ、もう、それ…!」 「ははっ、だが、事実だろう? 妙な連中が来たと笑ってくれるさ。他人の幸を願える心の広い御仁のようだからね」 ―――それに、と長義は耳を寄せ「今の話は物語の想像、だ。俺たち以外の耳には入らない…」囁き、長義は審神者を緩やかに今、現実に引き戻す。 窓の外では鳥の声が一段と高くなる。陽光は障子で柔らかく変化しながらもふわりと部屋に帯を作った、それが段々広くなる。 「(漸く笑ったか、やれやれ…手間のかかる主だね…)」 …過去の話も戦の話も、歴史も、今この瞬間の温もりを際立たせる為、と今だけは思おう。―――刀剣男士として、まぁ、失格だろうな、この感情は。だが想いから生まれた付喪神、ならば。今の時間程度は許されるだろう。 俺は腕の中で幸せそうに目を細める唯一の番を、もう一度強く抱きしめた。 |
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背景これ(笑)。
少し早めに起きた長義が文机に向かっているところを主が布団から手を出して「長義、…何してるの…?」みたいな

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