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刀剣乱舞 山姥切長義

以前購入していた構図集からこれを描いたことがあったのですが、何となく描き直してみた。
ある意味顔だけ描いただけなのですけども(笑)。

主目線だから長義だけの絵だけども、主の持ち物を持ってる、って好き。


と言う訳で書きながら考える小説。
毎度毎度着地点がわからない。

――――――――――――――――――――――――――

 木で組まれた高い天井。上に行くほど暗い。
 そこに突如青白い光が降り注いでくる。
 その同時に床に陣が敷かれ、桜の花弁のようなモノが舞ったかと思えば――――。


「お帰り〜」
「あるじさーん、えへへ、頑張ったよー。ご褒美ちょーだい?」
「あっちにあるよー」
「はぁい!甘いやつ?しょっぱいやつ??」
「今日はしょっぱい方が多いかなぁ?」
「りょーかーい」
 駆け寄ってきた乱藤四郎は審神者の腕を掴んでくるりと回ってそのまま廊下の向こうに走って行った。
 ご褒美、は広間に置いてある現世の菓子なのを知っているから。


「乱、全く……。戻ったと思ったら元気な事だね」
「……。元気が良いのは何よりだろう」
「おや、そう言う偽物くんは息が上がっているようだが?」
「……お前こそ」
「は、何を適当なことを。――――ああ、主。出迎えかな」

 陣の最後に現れた山姥切の二振り。
「お帰り、長義、国広。おつかれさまー」
「隊長以下、怪我は無し。俺は報告書をまとめてからそちらに向かうよ」


 長義はまだ転送部屋に残っている男士を全て部屋の外に出してから扉を閉めた。鍵を回すと、扉の内部で何かの音がする。

「よし、ではまたな」
「うん」
 鍵を審神者に手渡すとそのまま長義は廊下の向こうへと消えていった。



「…しかし面倒な造りだなぁ」
「鶴丸?」
「その鍵、さ。登録の男士と審神者しか使えないんだろう?」
「あー、男士…うちの鍵は長義の神気が石に籠ってるからね、なんかそういうものらしいけど、使ってみる?」
「いや、鶴さん、色々と長義に恨まれてるからな。まぁ、もしこれで鍵にでも細工しちまったら………ま、面白い事になるだろうが」
 恨まれている、と言っているが、楽しそうにやりと笑うのはそこは鶴丸だ。
「?」
「いやいや、こっちの話だ。釘刺されまくって大変だって話さな」
「ますますわかんないけど」
「全く鶴さんもちょっかい出し過ぎなんだよ。――――しかし、長義くんも変わるねえ」
 広間までの廊下を歩きながら燭台切は腰の刀の柄に手を置き、す、と撫でるように指を流した。

「変わる?」
「ああ、…君はそう見る機会がないだろうけど――――…」








「――――では、今回分の報告はこれまで」

 軽い服装に着替え、報告書の送信を終えた長義は審神者に端末を渡した。
「こちらは特に変化はなかったか」
「うん、大丈夫だよ」
 なによりだ、と言いながら畳に腰を下ろし、ふ、と息をつく。

「………。何かな」
「!」
 どうも視線を感じて長義は椅子に座ったままの審神者を見上げた。
「別に君に見られるのは構わないけども……その視線、何か言いたいことでもあるんだろう?」
「いや……うーん、…どぉかなぁ…」
「…はっきりしないね」
 んー、と唸ったまま、椅子から降りて長義の隣に座り込む。
「……目とか声がね、違うって聞いたから」
「は?」
「燭台切がね、長義が戦ってる時と私と話す時、違うよねって」
「なんだ?そんなの同じなわけがないだろう。君らは俺が能面だとでも思っているのか」
 片眉をく、とつり上げ。



* * * * * * * * * *



「例えば鶴さんは舞うような戦い方だけど、長義くんはその素早さで敵を混乱させて―――という感じかな。政府に居た頃も戦闘支援経験があって戦っていたって聞いたけど、確かに動きは軽いし、刀は重い」
「へー……」
「青白く光る眼は…怖くもあるね。確実に敵を追い詰めて………なんて君に言ったら余計な事を、って長義くん、言いそうだけども」



* * * * * * * * * *



「少し見てみたくなっちゃったなー、って」
「は?…何を言うかと思えば。馬鹿な事を言っていると痛い目を見るよ」
「えーそんな風に言われたらって思うんだけど」
「あー、はいはい」
 ひらひらと手を振り、目の前に居るその肩に襟元に手を伸ばしてきた。
「だが、そんな事になれば…まぁ、君を危険に晒しているって状況だ。……俺は遠慮願いたいね。 無論、守りながら戦えないわけではない、が。…危険な目に遭う可能性は潰しておきたいかな」
 ちゃり、と音がして首元のチェーンが滑り落ちる。
 それを手の中に手繰り寄せ。
「そんなに俺が刀を振るっているところを見たいなら……――そうだな、手合わせでも見ればいいよ。何、真剣にやってやろう」
「あ……。 …長義」
「?」
「…なんか、ごめん」
「! いや。…分かってもらえればいい。全く、本当に余計な事を、だね。好奇心の塊みたいな君にそう言ったら見たいって言うに決まっているだろうに」


 男士が戦っている姿を見たいと言ったのは実は初めてではない。
 顕現され、歴史を、この本丸を守るために傷つきながら戦う男士を。
 勿論、今しがたの「見たい」とはまた状況も心持ちも違うが、「戦場を駆ける男士を見たい。痛みを見たい。彼らは私の刀だから、せめて目を逸らさない」と――――。
 審神者はただの人間だ。戦場に出ることは通常、政府の命令で許されていない。刀傷だけではない、矢や石の一つでも飛んできたらそこで命を簡単に落とすからだ。


「(それに、この仲になってからこちら、俺の事なら全て目にしたい、と言っていたな…。―――ああ、こちらの苦労も知らずに)」



「…別に怒ってはいないよ。君がそういう性格なのも十分承知しているからね。こんな事でいちいち怒りを覚えていては身が持たない」
 一度軽く伸びをすると身を畳に横たえ。
「主」
「何?」
  畳に投げ出された腕は審神者の方に伸びている。
「俺に触れたいならどうぞ。甘えたいんだろう?」
「……って」
「―――おや」
 視線は腕に、それから少し逸らして。迷うように微かに身体が動く。
「(遠慮して迷ってる顔、か)」
「……」
「なら言い方を変えるとしようか。…ああ、少し疲れてしまってね。審神者の霊力を分けてもらいたいのだけど」
 少し声の調子を上げて言う。この山姥切長義の喋り方だ。
「えー」
「おや、隊長に近侍の仕事、―――随分と俺をこき使ってくれているけども、それでいいのかな?」
 先程審神者の首から外したチェーン。その先端には長義の神気が篭められた石がはめ込まれている。それに唇を付け乍ら。
「…君が、俺をねぎらうつもりがあるのなら、と言っているんだが? そら、俺もいつまでも待ってないよ」
 相変わらず腕はこちらに向いていて。「……頭乗っけたら、腕、痛くないんだろうか。疲れている男士にやるべきだろうか」等と考えてみるが。

 そ、と隣に横になり、その腕に頭を乗せる。
 それまで動かなかった腕が、頭の重みに触れると己に抱き寄せるように動いた。

「ん。……いや、待って、やっぱ霊力回復とか無いと思う」
「ああ、俺も知らないね。……ただ」
 腕―――胸近くまで引き寄せられている。長義の身体の温かさ、とくん、と鼓動が耳に届いた。
「……君の温もりは心地がいいからねぇ…。面白いな、人の身体というものは……」
「長義も…」
 服越しでもわかるしっかりとした身体の厚み。その服をきゅ、と掴んで。
 身体の中がぽかぽかと温かくなっていく気がする。じわりと染み出して身体を覆っていく感覚。

「おや……随分顔が緩んでいるな」
「…ふふー……なんか、くすぐったい気がして。私の方が回復しそう」
「へえ、それは何よりだ」
 別にくすぐっているわけではないけれど、いや、そういう意味ではないか。知っている―――。
「(分かっているけどね…。人の子の…こういった曖昧な物言いは)」
「長義も、回復してくれたらいいのになぁ…」
「…どうかな」
「じゃー…回復魔法〜! ……なんてね」
「はは、…なら、頑張って覚えてくれ。俺の為にね」
 首元に当たる髪と、頬と。
 自分より細い指が、きゅ、と服を掴んでくる。
「(回復、ねぇ。…これがそうだというのならば…)」




「ん……」
「ああ、眠っていいよ。 俺も……少し目を閉じるかな…」
 部屋の結界が生きていることを確認してから、長義は審神者に腕を回し直して目を閉じた。



 耳元で名を口にして。
 ああ、貴女の名を知っているのは俺だけだ―――と。きっとこれがくすぐったい、と表現するのだろう。





うーん、ただいちゃついてるだけだった(笑)。
いつもの事か。

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