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刀剣男士、転送ゲート失敗したら欧州ファンタジー系異世界だった件
というなんかTwitterで自分だけで盛り上がっていたやつ。
絵も思いつくままだったけども、ちょっと話をおもいつくままに書いてみる。
―――――――――――――――――――
「それでは、主。行ってくるよ」
転送陣がある本丸の奥。その扉の前。
第一部隊の他の男士は既に部屋の中に入り、あとは隊長である山姥切長義を残すのみとなった。
扉の向こうからは声が聞こえるが、この廊下は静まり返っている。
「うん、気を付けて。夜戦もあると思うけど、無茶しないで」
「ああ、心配いらない」
指先をそ、と頬につけ、軽く撫で上げる。それから「君のお守りもあるからね」と胸に手を当て。
「ふふ、……うん」
「……」
それから長義は顔を少し近づけると審神者の耳元―――自分が渡したイヤーフックに唇を軽くつけた。
ちゃり、と青い石が小さく鳴る。
「ッ… !?」
「―――では」
「おーい!長義!大将!!ちょっと来てくれ!!」
「薬研か」
「え、何?」
部屋の中から聞こえてきた薬研藤四郎の声に長義は扉を開ける。
「主、君は部屋に入るんじゃな―――」
―――――青白い光の歯車が幾重にも回る。
ああ、これはいつも見ている光景だ。魔法陣の様な環がふわりと上がるのだ。
木で組まれた天井はとても高く、その高さをずっと光の歯車が回っていた。
いや、いつもの光景と、違う。
光はこんなに眩しくなかった。歯車の数も多い。
「(何が起きている…!?)」
「しかし、…音が!?」
山姥切国広はさらわれそうな布を手で押さえるのも忘れて呆然と上を見上げる。
時折、雷のような紫色の光が走る。
どう見ても尋常ではない。
見慣れた木組の壁や天井に、見た事のない文字が浮かび上がっている。
「長義くん!一旦退こう!!」
部屋の一番奥に居た燭台切光忠が叫ぶ。
「ああ、わかっている。撤退だ! …だが―――このままでは」
―――そうは言ったものの、もう間に合わない。
光と音はどんどん大きくなっている。
長義はちらりと扉の方向に目をやった。そこには長義に止められたから足こそ踏み入れないが、すぐにでもこちらに駆け出してきそうな審神者の姿。
「く…」
自分たち刀剣男士は全速力で走れば恐らく間に合う。この光に呑まれる前に。
だが、ただの人間である審神者はきっと間に合わない。あの場所ではきっと巻き込まれる。
「は。全く仕方のない…」
「―――ああ、やれやれ。…すまないね、皆。俺の我儘に付き合ってもらうよ」
一度目を伏せ、ふ、と笑う。
銀色の髪が、その青白い光に溶け、なびく。
それで全てを理解した男士たち。薬研は手をひらひらを振って「仕方ねーな」と笑った。
「……主」
それから長義は審神者に駆け寄ってその身体を抱きしめる。
「大丈夫、君を置いては行かない。しっかりと俺に掴まっていて」
耳元で囁く。安心させるように出来るだけ声を落として。
長義の肩越しから見える光景はそのような声とは似つかわしくなく。
「…ごめん…」
異変から走り出さない自分の男士たちを見、「あぁ、これは自分を守ってなんだ」と理解したのだろう。
「謝る事などないよ、皆了解している。……君の男士らはお人好しが多いようだ」
ちゃり、と、また石が揺れた。
「長義…」
「心配はいらない。君は俺がいる」
「うん、ありがと」
長義は本丸が光に巻き込まれないよう扉を閉め、札を貼った。
「ま、こんなんもいいだろ」
「……長義、主を離すなよ」
「…言われなくとも。…お前こそ一人で何処かに飛ばされるなよ、偽物くん?」
その直後、爆発音とともに、遙か頭上に何かが見えた。
森、街―――だろうか。
とりあえず序章的な(笑)。
短めにお話でした。
こうすれば特に違和感なくあのカッコが出来るみたいな。
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