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診断メーカーお題
「リビングで寝ているのを発見した。寝るならベッドでと近づいたら抱き着かれた」…という。
それをネタにしてみましたー。
そして考えながら書く少し短めにお話。
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寒い寒いと言っていても、火鉢は思いのほか暖かいし、またこの本丸の建物自体が「普通の建物」ではない。
男士が過ごしやすいようになのだろうか「いかにも古めかしい純和風でその当時に近い見た目の作り」…だが、その全てがそれではない。
「時代劇」調の見た目。その壁一枚剥げば「彼らが打たれた(また審神者が生まれた)その当時」には全く存在しなかった物ばかりだ。
SF的で魔術的な。
「はぁっ。……それでも、畳に転がっていたら良くはないと思うけどねぇ」
山姥切長義は自室の障子を開けるなり息をついた。
恐らく途中までは脇息に腕を預けていたのだろう。中途半端に腕が乗っている。頭は重かったのかそのまま畳に落ち、髪の毛は好き放題に散らばっている。
スカートは脚を膝まできちんと隠してはいたが少し動けばめくれるだろう。
顔は何か布で隠されている。覗き込むと部屋の隅に畳んでおいてあった外套。
「……。そうされていると、皺になるんだけど」
いかにも嫌そうな言葉に聞こえるが、その口元は苦笑している。
「全く…。そんなもの、俺の代わりにはならない、かな…」
現在、部屋は寒くはない。
だか、眠っている者にしてはどうだろうか。
「主、―――寝るなら布団で寝てくれ。あとで肩が痛いやら言いだすだろう、君は」
肩をゆすってみたが「うーん」と声を上げただけだ。
昼間の明るい日差しが部屋に差し込んでくる。障子が締め切ってなかったのだ。
一寸ほど開いていた障子を閉め直し、長義は押入れから自分の布団を出し、広げた。
「(全く、仕方ないねぇ…手がかかる)」
「………」
今度は起こして移動させる、という事はやめたようで肩と脚に手を滑り込ませた。
「うー……ん」
畳に外套がしゅす、と音を立てて滑り落ちる。それを抱きしめていた手は温もりを求めたのか長義の後頭部まで。
「っ、と」
顔が近づき、頬が当たる。
互いの髪が混ざり合う。
「おい……」
腕はしっかりと長義に回り、首筋に顔を埋めたのだろう。息の温かさが首に当たる。
「このまま襲われても文句は言えないぞ…」
冗談を言ってみるが聞く者はいない。
「むしろ俺が襲われているのかな、この状況は」
はは、と苦笑して。
「……ぅ ぎぃ……」
「起きているのか?」
「………んー……」
「……。全く呆れたもんだね」
このまま布団に下ろしても恐らく腕は解かれない。
「なら……」
このままでいいかと諦める。
負担がかからない体勢に動かし、長義は自分の身体に審神者の重さが来るように座り直した。
畳に滑り落ちた外套を背にかけ。
「……。 外套、か」
「(俺の代わりにはならないよ、ねぇ。………随分迷走しているものだな、俺も)」
もしかしたら、布団に下ろして腕を解かれるのが…面白くないのかもしれない。ふとそんな考えが頭をよぎった。
「っ ……まさか、ね」
途端、肩から後頭部に感じていた微かな重さがするりと落ちた。腕が解かれたのだ。代わりに今度は胴に腕が回ってきた。
身の丈にそう差がないこの二人だから相変わらず長義の首筋には息がかかっている。
「………。こんなの」
――――誰にも言えるものか。
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