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刀剣乱舞 山姥切長義

先日やったツイッターの診断メーカーで「プレゼントを買う」だったから。
いろいろ自分好みの色を主にくっつけていく長義さん。
色々説明するより書きながら考えていくスタイルで短めに話を書いてみる。
適当すぎてただのいちゃつき話ですが。

――――――――――――――――――――

「就任5周年か、盛大に祝ってもいいんじゃないかな」
 節目の年だ。


 少しずつ秋の気配を纏ってきたとある日。
 後ろの髪をつげ櫛で梳いた後、髪留めでとめている姿を何となく眺めていた長義はふ、と息をついた。
「……」
「……あれ、何?」
 視線に気が付いたわけでもないだろうが、振り向かれて目が合う。長義は「いや、気のせいだよ」と軽くあしらい、続けて「この後の予定があるから失礼するよ」と部屋を後にした。
「? 変なの」
 静かに閉まった障子に「ふーん?」と首を傾げるしかできなかった。



「さて、どうしたものか」
 濡れ縁を歩きながら庭を見ればそれぞれの当番の男士や、手合わせをしながらも遊んでいるようにしか見えない男士たちもいる。
「5年、ね…」
 ここに来たのは流石にそこまで前ではない。それは当然のことだが「俺が知らない主を知っている刀―――刀剣男士が何振りもいる」という事を意味している。
 初期刀の加州清光は事あるごとに主に抱きついているし、初期顕現組の薬研藤四郎や山姥切国広、へし切長谷部とも仲が良い。
「(ッ…。またか、何だと言うんだ。それが)」
 長義自身、そんなことを今更どう思っても仕方ないとは理解している。だが、不意にそれを歯がゆく感じることが未だにあるのだ。
「(何を、今更。……だというなら、他の男士が知らぬ主を知っているのは俺だ)」――と、半ば自分に言い聞かせるのだが。


 いつの間に本丸を一周していたらしい。気が付いたら審神者部屋に戻っていた。
「(全く、俺も何をしているのかな…。馬鹿馬鹿しい)」
 自分の行動に腹を立てながらも、息をついて障子に手を掛ける。

「主」
「あれ、おかえりー。…用、終わったの?」
「ああ、……滞りなく」
 畳の上を軽い音をさせながら審神者に近づき、その目の前で膝をつく。
「えぇ、近い…んだけど」
「…別に問題はないだろう。俺と君の仲だ、今更だろう?誰か他に居るわけでもなし」
「……。長義、なんか今日…おかしくない?」
 続けて「大丈夫?」と聞いてくるのは体調を心配して、だ。
「俺はいつものままだよ。心配いらない。……さて」

 手袋を外し、そ、と手を伸ばしてくる。
 刀を握る手はざらりと少し硬く。その硬さが耳と首筋を滑って。
「うひゃあっ! な、なに!?何事!?」
「ほら、動かない」
「はぃい」
「耳」
「え?」
「耳にする飾りは苦手かな?」
 気になっていた。
 髪を上げる時、髪を梳いてあげている時、そういえば耳飾りを見たことがない、と。
「……あー…あまり。あのー挟むの苦手かも」
 その返答に、くす、と笑い。
「なら良かった」
「へ? 何が…??」
 左の耳にまた手が触れる、びくん、と肩をすくませたが今度は動かないことに成功した。
 近く、息がかすめていく。

「ん? あれ、何かつけた?」
 手が離れて、確かめるように首を傾げる。
 シャラ、と音がするがあまり異物感はない。
「…面白い意匠の飾りを見つけてね。挟むのが苦手ならば、これは付けられるだろう?」
「?」


「…就任5周年おめでとう。…まぁ、今更だが、神気を篭めていたら少し遅くなってしまってね」
「え!ありがとう…!これなら全然付けられるよー」
「―――俺が存在していなかった時間は埋められない。だが……」
「だが…?」
「…まぁ、ここからは想像にお任せするよ」
「えー」

 きらきらと耳元で光る青と透明の石。

「長義」
「何かな」
「ありがとう。わー…すっごい綺麗だし、嬉しい!」
 見たくて、一度外してそれを両手で包む。
「…俺が君にと選んだのだから当然かな」
「あは、長義っぽい。このパーツとか色とかー」
「へえ…いちいち理由付けするのが好きだね」

 それからまたつけ――――
「られない……、え、これどうなってんの?」
「……。全く、不器用だね、俺の主は。ほら、いいかな、ここをひっかけて…」
 息をついて手に手を重ねて、こう、と。
 それから重ねたままの手を引き寄せて唇を当てた。

「ん!」
「君の……これからの時間は…」
「…え?何??」
「いや、…なんでもないよ。主」


「長義」
「?」
 目の前の長義の肩に顔を埋める様にして。
「頭動かすと、しゃらってちょっと音が聞こえるんだよね。長義が守ってくれてるみたい」
「そうだな。……ああ、それ案外、他人から見えるんだ」
「へー…」
「…そう、きちんと「印」をつけておかなくては」

「ッ!?   そ、そんなことしなくても―――」
「おや、何かな? ああ、主はこの俺、山姥切長義のもの、だ…と? そう言いたいのかな?」

「(だからいちいち言わないでよ…!!)」






「あぁー…大将のじゃらじゃら、また増えたな……。どんだけ飾り立てるんだ…?」
「………。主の守りになるのなら、と。…俺も渡すと言ったら、何故か長義に阻止されたぞ。…主ではなく、長義に」
「ははは、だろうなぁ…。あんな涼しい顔して結構やるよな、長義って」
 自分では行動を起こさずとも、主を見れば……というのだろう、と薬研藤四郎は勝手に推測している。
「……普段は……そんな素振り見せないがな…」





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