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刀剣乱舞 山姥切長義

特命調査の聚楽第。
長義を出撃させなきゃなので近侍を外したら…多分怒ってる。
みたいな感じ。


と言う訳で少し話を。
特命調査二回目なので国広はお留守番らしい。


―――――――――――――――――――――――

「近侍が…偽物くん……?」

「……ああ、長義が出るとなったから…、俺が主に頼まれた」
「………。ああそう」
 額に手をあて、やれやれと首を横に振る。

 それから特に何も言わずに長義は審神者部屋の方に歩いて行った。
 心なしか廊下を踏む足に余計な力が入っている気がする。
 山姥切国広は、は、と息をつきながら「近侍…とは何をするんだったか、暫く任命されてないからな…。とりあえず…書き物の用意を取ってくるか…」と自室に向かった。



「主」
「あ、長義 ――――って」
「? 何かな、…何を言い掛けた…?」
「(いや、なんか…怖い…んだけど)」
「へぇ…」
 審神者部屋に入って、すぐにぴしゃり、と後ろ手で障子を閉める。

「放棄された世界の調査、…それに俺が指名されたのはわかった。まぁ確かに一度やっているからね」
「うん、それで、一時的にだけど近侍をね」
「ああ知っている。偽物くんだろう?」
「……。 薬研とか長谷部にお願いしようか?」
「同じことだ。 ――全く、仕方ないね。他の男士にあまり甘えないように。それと、難しい問題があったら一時的にでも戻ってくるからその時に俺に言うように。
…まぁ、緊急ならば他の奴らでも仕方がないが…。その辺りは判断できるね?」

 心配性なのか、「周りは皆知っている男士ばかりだから、こちらは気にしなくてもいい」そう言ったら、「はぁ」と息をついて長義は黙ってしまった。
「ちょう、ぎ?…」
「あのね、主。……いや…」
「長義こそ気をつけてね。休憩出来たら休憩して。あんま無理しないで、とさせないで。なかなかこっち戻って来れなくなるから、いろいろ持って行ってもらうけど」
「ああ…わかっている。この人の身体というものにも数年経って慣れたし、戦闘経験もある。…その辺りは心配いらないかな」


「では…ここにある俺の荷物は箱に入れてそのままにしておくよ」
「うん」

「では、行ってくる」

 ぴしゃり!!といつもより強く閉められた障子。
「やっぱり…怒ってるんだなぁ…」



****************



「お帰り!みんな」
「おぅ!!」
「主、ただいまー」
 転送部屋の前。特命調査の第一部隊が戻る日。
 ぞろぞろと男士たちが転送陣から姿を現し、出迎えた主の前をハイタッチなどしながら通過していく。


 最後に出てきたのは山姥切長義だ。
「お帰り、――――んっ!」
 他の男士が廊下の向こうに消えたのを確認して、長義は何も言わずまずその目の前の腕を引き寄せて掻き抱いた。
 身の丈の差があまりないから、肩に、首筋に顔を押し付けるように。
「……――――っ」
「長…義? え、怪我とかしてないよね…?」
「! 全く君は…何もないよ。隊長以下、皆怪我無し。何も問題はない。―――それではない」
 それから手を緩められて、ようやく顔を見た、が。

「長義、…なんか笑ってるの怖いんだけど…?」
 絶対何かを考えている!と、思う。この笑み。
 この山姥切長義はこうなのだ。
「へえ。……誰の所為だと思っているのかな…?今日は色々と覚悟してもらうよ」
「…え?」


「さ!…今日はまず君の周りの仕事を片付けなくてはね」

「それから―――」

 耳元へ。
 もう一度、ゆるゆると腕を回してくる。

「……。全く…長かった… かな…」

「!」
 ため息とともに言われた言葉は、その声色はいつもより掠れて。
「長義、私はいつでもここに居るよ」
「! ……そうだな。 …やれやれ、俺がこんな考えになるとはねぇ…」
 小さく囁くように言った言葉は耳を柔らかくかすめていく。
「……長義」
「……――」
 ぽつり、とこの本丸では長義しか知らない真名を囁く。
「っ……うん…」


 暫くそのまま言葉なく。
 互いにあまりにも居心地が良かった時間だったのだろうか、ふと、庭の鳥の声で我に返るように、回された腕がピクリと動いた。


「――っ、……そろそろ戻るか。長谷部辺りが主がいない、と、騒いで迎えに来るだろう」
 鍵を取り出し、転送部屋の扉の錠をおろし。
「……。 ね、長義。今日は甘えさせてあげようか…?」
 目の前にある美しい銀の髪を、そ、と梳いて。
「!……。おや、そんなことを俺に言っていいのかな。後悔しても知らないが」
「長義ならいいよ、多分」
「…多分、ねえ。 はは、……なら、お言葉に甘えようか」
「! え…?」
「………君から言い出したのだろう? まさか今更前言撤回、なんて言うのかな?」
「言わないけど」

「……ではまず、…もう近侍は気安く変えない事。…それからだよ」




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