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刀剣乱舞 山姥切長義

心配性のうちの長義。
元監査官、今度は主を監視及び守護しております。

「主が触れるもの(あと主本人)に触るときは手袋を外す」という決め事があるらしい長義さんですが、どうもその縛りのせいで結構手袋外していることが多い。
絶対外したくない刀だと思うのですが。



考えながら書く小説。
どう終わるのか書いてる本人もわからん(笑)。

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「面白いよね」
「…? ああ」
 審神者の声に何かと思いながら振り向くと、その手には鏡。
「…政府の物は一見、何の力のなさそうな意匠の物が多いからね。「いかにも普通」とでも言えばいいのか」
「うん、でも触ると何も書いてなくてもわかるんだよね。あ、誰のだー、って。長義のつげ櫛もそうだけど」
「へえ、それは審神者だから、かな」
「だから、面白いよね。どうなってるんだろ」
「……へえ」
 すい、とその手から長義は鏡を取り上げる。
 特に変哲もない鏡。木製の型に埋め込まれた小さなもの。
 そこにはこの刀剣男士――山姥切長義を示す紋。彼の神気によって示されたものだ。


「そういえばさ、男士の力が入っているといえばー……これもそうだよね!」
 ふと、審神者は小さな鞄を出して来て見せた。現世に戻るときの鞄につけられている小さな鍵モチーフのアクセサリー(の様なもの)だ。
 現世ではそういったものは「バッグチャーム」等と呼ばれているらしい。
「鍵、か」
「こんな綺麗なやつが鍵とか信じられなかったけど」
「それこそカモフラージュ、ってやつだろうな。一般人に見られても怪しまれないように、か。 まぁうまく化けているよ」




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それは少し前の事だった。

「本丸の鍵?」
 長義が言った言葉をそのまま鸚鵡返しした。

「ああ。申請していないのか?」
「各部屋の鍵はあるけど」
「それは違う。本丸全ての扉の鍵だよ。まぁ他にも効果はあるのだけど。 …ふむ、その様子じゃ持っていないんだろうね」
「へーマスターかかってる鍵とかあったんだ?」
「…ああ。そうだな、あって困るものでもなし。 なら―――……」
「?」
「………。 俺の名で申請しよう」
「え、男士の名前なんだ?私のじゃなくて」
「………。――ああ、近侍の名だよ。その本丸の代表となる刀だ。…別に俺で問題ないだろう」
「あ、うん」
 どうも一呼吸置いて口を開く長義に審神者は首を傾げる。
「…では、申請はしておくよ。そうかからず来るだろう」


 政府と連絡を取るためか、長義はそのまま部屋を後にする。
「連絡端末ならここにもあるんだけどなぁ…」
 どうも、少しだけ態度がおかしいな、とその背を見送りながら審神者はぽつりと漏らした。




 ―――それから数日。

「一度あっちに戻らなきゃならなくなって、すぐ戻ってくるけどよろしくね」
「ああ、……それより、なんだそれは」
 審神者の手にはまるで巻物のようになった紙。
「じゃーん、お土産リストですー。皆に頼まれたんだよね。お菓子とかお菓子とかお菓子とか」
「おい、菓子ばかりか。……。全く、遊びに行くつもりだと思っているのかな…彼らは…」
 額に手を当て、やれやれと息をつく。

「……。でも、長義も来られたらいいのにね」

「! ………。馬鹿を言うな」
 何故か、く、と目を細めたが、顔を逸らしたのでその表情は見えなかったはずだ。
「じゃあ、行ってくるね」
「――主」

 部屋の障子に手をかける寸前、腕を引っ張られて長義の胸にどん、と当たる。
「わ 長義?」
 耳に、頬に息がかかる。
「……現世は、特に危険がないとは聞いている、が」
 目の前に吊るされたのは小さな鍵。
 どう見ても、アクセサリーにしか見えないそれ。
「…何かあったら、遠慮せずに俺を呼ぶ事だね」
「? これ、…あの、こないだ言ってた…。呼ぶ、って?鍵だけじゃないんだ?」
「そう。登録の男士が一振り呼べる。君の鍵は勿論この俺だ。…あまり乱用すると監査部から怒られるけどねぇ」



「お守りだよ。――俺がずっと守護していよう。……大丈夫だ、君は。 心配せず行っておいで」

「うん、ありがとう――――」




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「そういえば」
「何かな」
「……鍵の申請の時に、ちょっと気になったの思い出した」
「!………」

 そう、あの時の長義は何故一呼吸置いてから口を開いていたのか。

「…は? 全く妙な事を覚えているな君は」
「だって、いつもはすらすらなんでも言うのに、あの時はなんか…」
「……。なんでもいいだろう」
 はいはい、とひらひら手を振る長義。

「えー」
「えーじゃない。しつこくされても俺は何も喋らないよ」
「……ま、いいけどね」
「(いいのか)」
 あれからずっと鞄につけているそれを、光に透かす。
「綺麗なのは変わらないし。長義が側に居るみたいだし」
 そこについている石は山姥切長義の瞳によく似た青色と、雪のように真っ白な水晶の花。
 なにより(見た目は)金属製なのに触れると温かい気がする。これはきっと。
「長義は…」
「……?」

「私にとって悪い事はしないもんね」
「……。どうかな」
「あー! ほら、すぐそういう意地悪みたいな事言う!」
「はは、俺はこういう刀でね」
 もう!と審神者は長義に抱き着くとそのまま腕を回して抱き留めてやる。



 ―――言えるものか。

 一番「審神者と繋がりが深い男士であることが望ましい」とされている鍵の申請だ。
 誰かにその役を取られたら。 …などと。
「(しかし、俺も大概だね…)」




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