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花火のボイスにいろいろ驚いたので話を書いた。

だって、ずっと七夕で夫婦円満って言い続けていたのがさ…!!

――――――――――――――――――――――

「わ、始まってた…! ね、今年のもすごそう?」

 ドン――――と空気を震わせる。腹の底に響く大太鼓のような音。
 縁側の硝子戸さえも震わせて、大輪は闇夜に咲いてはぱらぱらと零れてゆく。
 庭の方向へと目線を下ろせば小さな光が舞っている。短刀の刀剣男士たちだろうか、持ち手花火をくるくると回しているのだろう。

「あはは、あれ、私もやったわー。魔法の杖ーとかって」
「……。今でもやりそうだがね、君は」
「ん、確かにやりたい」
「どうぞ?ご自由に。…あぁ、建物や木には掛けるなよ」

「んー…」
「おや、魔法使いになるのは諦めたのか」
 すとん、と、長義の隣に腰を下ろし、空を見上げる。
「……うん。ここがいい」

 ここは山姥切長義の近侍部屋。
 審神者部屋からも近いこの部屋は長義の性格上、庭の喧騒は届きにくく、だが、打ち上げ花火を見上げるのには特等席だ。
 長義は縁側に腰を下ろし空を眺めていた。


「おー また上がった!」
「あぁ。 全く…こう言った事には特に精が出るのか、随分と気合が入っているな」
 呆れたような口調とは裏腹に、長義は穏やかな顔でそれを見上げた。

 ドン―――
 花が咲き、また、色とりどりの光が降ってくる。

「……ほんとに、綺麗…」
「? へぇ…。その割には――やけに隣からの視線を感じるが」
「あ、ばれてた」
「当然だろう。…この距離で顔がこちらに向いていれば嫌でも気が付く」
 長義は審神者の髪に手を伸ばし、自分が贈った濃い色の蜻蛉玉の簪に触れた。
 青い瞳が花火の光を受けて優しく光る。
「……だって…」
「だって? ……へぇ、俺に見惚れていたか?」
 く、と眉を上げて笑う。図星を突かれた審神者は「ぐぬぬ」とそっぽを向いて。
「いじわる…」
「おや。…それでは俺も花火も見えないだろう?」
 長義は少しだけ目を細め、面白そうに喉の奥で笑った。そして膝に置かれた手を取り、隣の身体を引き寄せ、自身へと凭れさせる。
「……」
 長義は審神者の髪に顔を埋め、耳元にその唇を寄せた。

「――――福徳円満」

 低く息交じりの声。とても優しい響きが鼓膜を打つ。

「! ふく……?」
 聞き慣れない言葉。審神者は目線を少し上に向けて彼を見上げ。
「ふ…(…夫婦円満の知り合い…!?)」
「……。はは、なんだその顔は。…「夫婦円満の親戚か」とでも思っているのかな」
「!!」
「…図星か。 はは、まぁ良い」
 長義はまた笑い。その言葉に首を傾げる彼女を更に自身に引き寄せた。
 何の抵抗もなく預けられた柔らかい身体と体温。香り。その総てを腕に閉じ込めるように、ぎゅ、と。
「ン… 長義…」

「俺たち夫婦が円満であることなど、とうの昔に確定している事実。この俺が居る時点で覆りようがない大前提だ。…それこそ、数年前から七夕で話題にするほど強く。言葉には力があるからね」
「じゃ今の…ふく…ってやつは?」
「…福徳円満。 あらゆる幸福と豊かな恵みが、欠けることなく満ち足りている事だ。…現在、君が居るこの場所も、俺と共に歩むこれからの永遠の未来も」
 再度。伝えるとともに、自分にも言い聞かせるように、この場をこの言葉で満たすように長義は言葉を紡ぐ。

 再び大きな花火が弾けた。
 長義の声はその音を縫い、確かな熱を持って耳に響いく。

「俺がいるんだ――…何も心配することはない」

「…… 長義…」
 ふわあっと目を見開いて。
 それは星の神への願いなど容易く凌駕してしまう、付喪神の絶対的な誓い。
 自信に満ちたその青い目に、胸の奥が熱くなる。

「……っ…」
 絡み合った視線。
 長義の手は審神者の髪からするりと簪を抜き、癖がついて緩やかに波打つ髪を梳く。その手つきは深く執着を籠めたようにゆっくりと。
 それから指を這わせて頬に当てた。
 花火の光に照らされた栗色の瞳は真っ直ぐに彼だけを映し出している。
「そう、だから、君の「時」は、俺のモノだ。…この先もずっと、ね」
「ん、…うん。……私の長義…」
「あぁ…」
「なん、か…ふふ、毎年七夕の時に「夫婦円満」って言って毎年話題にしてたの、気にしててくれたみたいで嬉しい」
「……当然かな…」
「言葉には力が、かぁ。じゃあ、何度でも…。 山姥切長義が私を満たして守ってくれるなら、私も貴方の存在を守るよ」
「あぁ…。…頼んだよ、俺の番」

 その誓いごと、口づけで分かち合い共有するように。
 触れ合う唇は柔らかく、ただ重ねるだけのものから、もっと、熱を帯びたものへと変わってゆく。
「んっ  ちょう、ぎ…っ」
 呼吸が混ざり、零れた名を掬うようにさらに深く。


 今はもう夜空に咲く大輪の花の音はもう二人には届かない。それよりも確かな鼓動が溶けあっていった。


いや…あのボイス聞いた途端「夫婦円満の知り合い!?」ってホント思いました。
…花火のやつ、他の男士を聞いたことがほぼなかったのですが、
〇〇円満って他に言ってる子っていないらしいではないですか…!(検索してみた)

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