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刀剣乱舞 山姥切長義 刀さに

ホワイトデー落書き。
温泉宿に来てみた長義と主。




――――――――――――――――――――――――――――

「…へぇ、随分と警戒しているな」
 長義は口角を上げ、くっと笑った。
「別に、警戒なんてしてないけど」
「ふぅん…。では、こちらに来ないのは何故だ?」


* * * * * * *


 ――――いつもと違う湯船と風景、それに微かに漂う硫黄の香り。誰も居ない事を良い事に、ざばっと両手を大きく動かして波を作る。
「ふわぁああ……たまにはいいよねぇ…」


 万屋街の籤引きで温泉宿と言うのを見かけ、それから話が発展し。ふと一泊だけ出かけようかという話になった。些か鄙びてはいるが手入れの行き届いた良い宿があるらしい、と。
 それを聞いた薬研は「お、いいじゃねぇか。あぁ…弟たちへ土産菓子で手を打つぜ、長義?」彼のその提案は『反対派の男士らを説得してやるから行って来い』である。
 しかし長義自身はほかの男士がどう思っていようと…とは考えているが、審神者の心情を思えば「私たちだけ行くのも、ねぇ?」となるのは目に見えている。


「…なんか、めちゃくちゃなんか買い込んでたけど…お菓子とか好きだったっけ、長義。 …あー!おせんべい、かな?」
 まさか頼まれていた物だとは審神者は知らず。
「でも、私も「こっからここまで全部」とか憧れるー」
 大体好物ならば、ため息をつきながら購入するわけもない。「…ここらの名物…あぁ、温泉饅頭でも適当に見繕って送ってほしい」と代金だけ置いてきた。
 
 
 * * * * * * *
 
 
 時は戻り、宿の一室。
 
 行灯の火を模した柔らかく小さな灯りと、月明かり。すぐ近くで川が流れる水の音。風は木々を揺らし楽を奏でる。
 山姥切長義は布団に身を沈めたまま、部屋の入り口付近に立ったままの審神者を見上げて口角を上げた。
「…随分と遠くにいるようだが、この部屋はそこまで広くはないかな」
「……なんか、部屋暗くない?」
「いや?顔が見えれば十分だろう。このまま語るにしても良い塩梅だと思うが」
「まぁ、そうかも、だけど」
 浴場から戻ってきたばかりの審神者は着替えを入れて来た籠バッグを畳に置き、二つ並べられた布団に座ろうとして…、

「まぁ…多少狭いが問題ないだろう」
「布団ふた――――」
「はは、まさか。布団は二つだ、なんてそんな味気ないことを言うのかな」
 心底愉快そうに笑って先を越される。
「(先に言われたァ!!)」
 それから手を差し伸べて
「おいで、…俺のかわいい妻」
「ヒッ!」
「……。何かな、その色気の欠片もない…。まぁ、どうせ同じ事。ならば早くこちらに。折角温泉に入ったというのに冷えてしまうだろう」
「……。でもいつもより狭い。私、長義を蹴るかもしれない」
 手を取る前に、隣の布団に座り込み。
 長義は宙に浮いた手を戻し―――それから
 「そら…」とこちらの布団に手を伸ばしてきた。ただ指を滑らせ、驚くほど滑らかな動作。だが、逃げ場など与えない強い意思を宿した手。その引かれる力に従うまま、その腕の中に滑り込むことになる。
 浴衣の裾を気にするその様子に長義は、く、と笑い。
「全く、呆れるね…。素直に来れば良いものを。 俺を蹴る…?ならばその脚も俺の脚で絡めてやろうか」
「まぁ…別に、いつも一緒に寝てるから良いんだけどさ…」
「では何か?俺を焦らしたかった、と。 …君にしては面白い事を考えたな。それでは夫としてそれは乗ってやった方が良いのかな」
「……なんか今日、口数多くない?」
「君は少ないな?はは」
「もう」
 身体に廻ってきた腕に、長義は笑い、はいはい、と受け入れてやる。

「…楽しめたか?」
「! うん!…ここに来る前も楽しかったし、ここの宿もすごくいいよねー。川の音も大きいけど落ち着くしさ。…あー雪の季節とか来たら綺麗なんだろうなぁ」
「はは。…それでは、次は雪の季節に」
 長義は自分の腕の中にある頭…濃い色の髪に手を差し入れ、手櫛で梳く。温泉の成分だろうか、いつもより素直な髪。
 その手が気持ちよくて、思わず目を細めて。
「んー…ふふ、長義…」

 髪を梳く手はそのままに、もう片方の手で行灯に手を伸ばす。カチリ、小さな音を立てて橙色の光は失せ、代わりに月明かりの帯が滑り込んだ。
 一瞬で瞳孔がふわっと広がり、二人の視線は混ざり合う。
「…思ったより、月明かり…明るいね」
 至近距離で見える顔は、影がはっきりとして顔の輪郭を浮かび上がらせる。
「だろう?この月明かりを部屋の照明だけで過ごしては味気ない」
「(なんて…)

 ――美しいのだろう、と今更思う。
 刀の鋭さと、付喪神と言う神々しさ。山姥切長義という刀剣男士は元々鋭い目つき、だが、「私」にしか見せないその眼差しは何処までも深く。
 そして、この刀が唯一と決めているのが「私」であると今更ながら認識して。

「…っ、 ちょう、ぎ」
「あぁ。 …は。なんだ?随分と心音が早いな。……では夫として、妻の期待には応えてやらなければ」
 深い青色の瞳が射貫く。だが、どこまでも慈しみに満ちた視線。
 長義は耳元で名を囁いて。息に載せ、低く、響くように。
「ん…。……もっと」
「おや、名を口にしただけでそのように喜ばれてもねぇ」

「…すき…」
「…あぁ」
 髪を梳く手はやがて指を絡め。意識をさせるような手つきで曲線を辿り、ふわりとした柔らかい帯を解く。


 ――――月明かりの青白い光は重なり合う二人の輪郭を淡く照らし、

「全く……。大したものだな…。 っ…」
「っ…   ―――ぎっ…」

 一つの影に塗りつぶしていく…。





* * * * * * *




「お、長義からか。 どれどれ…お、温泉饅頭か! 良いじゃねぇか」
 本丸の薬研藤四郎は玄関先に届いた箱を見下ろして「おーい、土産だぞ」と本丸の建物内に声をかけた。
 粟田口の刀剣男士を中心にわらわらと飛び出してきて。

「(にしても。…随分奮発したのか?)」
 ――――妙に箱の数が多い。
「(…ま、楽しんだってことだろ。なら結構結構)」






「え、長義も送ったの?」
「は?」
「うちの子たちにお土産…。私も送ったよ、温泉饅頭だけど。 長義は?」
「(……なん、だと。 ……ならば違うものを送るべきだったな…)」





うちのサイトにしてはいつもより甘め。
…良いんだよ夫婦だから(笑)。

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